長時間ゲーム、生活への支障大 遅刻や欠席、引きこもりも

 国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)は27日、全国の10~29歳の男女を対象に行ったゲームの影響に関するアンケートの結果を公表した。睡眠障害や体の痛みといった心身に問題が生じてもゲームを続けてしまうなど、若年層の一部が深刻なゲーム依存の症状を抱えていることが明らかになった。

 生活への支障はゲーム時間が長くなるほど大きく、遅刻や欠席、引きこもりにつながるケースもみられる。ただ、治療上の線引きは難しいのが実情で、専門家は指針作成の必要性を訴える。

 アンケートでは、世界保健機関(WHO)が定義する「ゲーム障害」の症状に応じて設問。「止めなければいけない時、しばしばゲームを止められなかった」とした人は、男女合わせて23・3%に上り、ネット依存治療の第一人者である同センターの樋口進院長は「コントロール障害に相当する」と指摘する。

 ゲームにより、腰痛や目の痛みなど体の問題や睡眠障害など心の問題が起きても、それぞれ10・9%、7・6%がゲームを継続。いずれもゲーム時間が延びるにつれて該当者の割合が増える傾向がみられ、6時間以上ではそれぞれ40・5%、37・2%だった。

 女性より依存度の高さがうかがえる男性に限ってみれば、8・4%は学業に悪影響が出たり、仕事を失ったりしてもゲームを続けていた。また、友人や恋人など大切な人との関係が危うくなっても止められない人も3・4%いた。

 樋口氏によると、ゲーム依存と診断される患者の大半がオンラインゲームの利用者。今回の調査では48・1%が主にオンラインでゲームをすると答えており、「オンラインでつながった人との関係が密になり、現実の対人関係の価値が下がってくる」(樋口氏)。夜から明け方までゲームをすることで、食事を定期的に取らないなど生活リズムが狂ってくるという。

 ゲーム時間が6時間以上と答えた人は、過去12カ月間に学校や職場の遅刻(30日以上)が11・6%、欠席や欠勤(同)が10・7%に上り、退学や退職に至ったケースも。37・2%が朝起きられなくなり、22・3%が計6カ月以上、家に引きこもっていた。

 樋口氏は「ゲーム時間が長いほど生活に悪影響が出るのは当然かもしれないが、全国的な実態が数値で明らかになったのは貴重だ」と分析。どの程度の時間からゲーム依存の危険性が高まるかの医学的根拠はないため、「今回の調査が材料になる」としている。

■背景にオンラインゲーム影響か

 若者を中心に広がるゲーム依存の背景には、「オンラインゲーム」の普及があるとみられる。絶えず内容が更新されるゲームに没頭していく子供は多く、ネット依存が疑われる中高生は全国で推計約93万人(平成29年度)。今回の実態調査では、ゲーム人口の低年齢化も明らかとなり、治療の難しさが浮かび上がる。

 オンラインゲームを始めた年齢を聞いた質問では、最多の「15歳以上」(36・3%)に続き、「11~12歳」(20・1%)「9~10歳」(18・2%)が多くなった。同センターでは、ゲーム障害が疑われる患者の約7割が未成年で、多くを中高生が占める。中には小学生もいるという。

 樋口氏は、ゲーム依存の若者が増える中、治療のガイドライン作成など診療体制の充実が必要と指摘。「今は学校に行けばゲームの話が中心になることもあり、未成年のゲームをゼロにすることはなかなか難しい。若年層の治療では、生活の中で、ゲームの重要性が2番目以下となるよう意識してもらい、ゲーム時間を減らしていくことが目標になる」と説明している。

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