iPSで膝軟骨を治療 京大が厚労省に計画申請 来年初めにも実施

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した小さな軟骨組織を、交通事故やスポーツによるけがなどで膝の軟骨を損傷した患者に移植し治療する世界初の臨床研究について、京都大は27日、厚生労働省に実施計画の承認を申請したと発表した。承認されれば来年初めにも最初の手術を実施する見通し。

 京大が備蓄している他人由来のiPS細胞から、妻木範行教授(細胞誘導制御学)らの研究チームが軟骨細胞を作り、さらに培養して直径数ミリの軟骨組織を作製。膝関節の軟骨の損傷部分に移植する。成功すれば周囲に残っている軟骨組織と一体化し、正常に機能するようになる。

 京大病院で移植手術を実施し、安全性と有効性を確認する。患者の公募は行わない。これまでにラットを使った実験を実施し、拒絶反応が起きにくく、がん化や腫瘍化が見られないことを確認したという。

 臨床研究の計画は学内の委員会が安全性などを審議し、今年10月に承認。これを受け厚労省に11月7日に申請した。今後は同省の専門部会で審議される。

 軟骨は関節の中で骨を覆って衝撃を緩和する働きを持ち、損傷すると関節を動かした際に激しい痛みが生じる。軟骨は再生しないため、患部以外の正常な軟骨を一部採取するなどして移植する治療法があるが、十分な量を得るのが難しい。異常な状態に変化し、正常に働かない場合もある。妻木教授は「iPS細胞由来の軟骨組織を使うことで、これらを解決できる」としている。

 iPS細胞から作った細胞を移植する再生医療の研究は、既に目の病気やパーキンソン病で実施されている。また、シート状の心筋細胞を心不全患者に移植する大阪大の臨床研究計画も国に承認されている。

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