大正天皇即位時に供された「ザリガニスープ」再現 栃木・日光の中禅寺金谷ホテル

 大正天皇即位礼饗宴(きょうえん)の儀の際に供された「ザリガニ」を用いたスープが栃木県日光市中宮祠の中禅寺金谷ホテルで再現され、今冬からホテルのフルコースのメニューに仲間入りする。日本では食材のイメージが薄いザリガニだが、関係者が研究を重ねてポタージュとして仕上がった。天皇陛下ご即位の年に完成した皇室ゆかりの逸品は、栃木の新しい名産として注目が集まりそうだ。

 国際的には食材として一般的なザリガニだが、日本では食べる習慣がほとんどない。しかし、大正天皇の料理番を務めた秋山徳蔵は、フランス料理で用いられるザリガニを使ってスープを作ることを思いついた。北海道の支笏(しこつ)湖産のニホンザリガニを使ったスープが、1915(大正4)年に京都で開かれた饗宴の儀に供されたという。

 関係者によると、この時使用されなかったニホンザリガニが日光田母沢御用邸(同市本町)に持ち込まれたとの記録があった。さらにこのニホンザリガニの子孫とみられる個体が、市内を流れる大谷川水系で生息していると判明。皇室ゆかりのニホンザリガニを観光資源に生かせないかと、「ザリガニスープ」の開発が進められた。

 ただ、ニホンザリガニは絶滅危惧種のため食材に活用できないため、県内に生息するアメリカザリガニを代用。県立馬頭高校水産科(那珂川町馬頭)の生徒が泥抜きや加熱処理などを担い「オール栃木」で開発が進んだ。

 レシピは、同ホテルの増子陽(ましこ・あきら)料理長が、元々ある同ホテルのポタージュにザリガニを加える形で考案。ザリガニ以外の食材も県産のものを多く用いた。ジャガイモとザリガニの食感のバランスがよくなるように工夫し、大正時代のスープを再現した。

 18日に行われた関係者向けの試食会では、ザリガニのエビのような食感と臭みのなさが好評を博した。同市の大嶋一生市長も「ジャガイモとザリガニの舌触りがうまくまとまっていておいしい」と太鼓判を押した。ザリガニスープは来年2月から、同ホテルの大正時代のメニューを再現したフルコースの中に組み込まれる予定という。

 増子料理長は「県産のザリガニのおいしさを皆さまに知っていただきたい」と意気込む。ザリガニスープは県内のフランス料理店からも興味を示す声が出てきているといい、今後新たな名物として期待がかかりそうだ。

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