大嘗宮の茅葺きは断念 復活へ次代に課題

 大嘗祭(だいじょうさい)の舞台となった大嘗宮(だいじょうきゅう)の建設をめぐっては、宮内庁が経費削減の工夫を重ねながら、伝統的な様式が維持された。だが、屋根については職人不足を背景に、従来の茅葺(かやぶ)きから板葺(いたぶ)きへと変更された。茅葺き文化を振興する団体は「次回は必ず茅葺きが復活できるよう技術者育成に力を入れたい」と訴える。

 宮内庁は今回の大嘗宮建設にあたり、平成時と比べて人件費の高騰を想定。建物の一部をプレハブに変更するなど経費削減に努める一方、天皇陛下が祭祀(さいし)や潔斎をされる「悠紀(ゆき)殿」「主基(すき)殿」「廻立(かいりゅう)殿」の主要三殿は平成と同規模を維持し、梁(はり)や柱の建材に皮付き丸太を使うなどの伝統的な建築様式を継承した。

 ただ、屋根は古来続く茅葺きから、板葺きへと変更せざるを得なかった。専門技術を持つ職人不足と良質な茅の確保の難しさ、工期の短さなどが課題になったという。大嘗宮の工事は今回7月末に始まり、建物の建設は10月末に完了。宮内庁幹部は「2度の台風で工事が中断し、スケジュールはぎりぎりだった。平成では主要三殿の茅葺きに約1カ月を要しており、短期間で茅を葺くのは現実的に難しかった」と打ち明ける。

 宮内庁に茅葺きを維持するよう要望した「日本茅葺き文化協会」代表理事の安藤邦広・筑波大名誉教授は「稲作農耕儀礼の形が建築に表れているところに茅葺きの意味がある。茅葺き文化に対する国民の理解を深め、茅葺きの需要を高めていきたい」としている。

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