「新時代に希望を」 奉祝行進曲「令和」作曲の北原幸男さん

 静寂を破る華やかな旋律とともに、陽光に輝くオープンカーがゆっくりとすべり出した。

 10日に行われた「祝賀御列(おんれつ)の儀」の出発地点となった皇居・宮殿で、宮内庁楽部により披露された奉祝行進曲「令和」。作曲者で、楽部指揮者の北原幸男さん(62)=武蔵野音楽大教授=は「これまでに接した全ての音楽に感謝し、天皇、皇后両陛下のお姿を思い浮かべて作った。新しい時代に勇気や希望を感じてもらえたら」と話す。

 父、祖父ともに尺八奏者。プロの音楽家として洋楽器もたしなんだ父に倣い、幼少期から和・洋の音楽に親しむ中で、指揮者を志すように。小澤征爾氏らに師事し、オーストリア、ドイツなど海外の歌劇場で専任指揮者や音楽総監督などを歴任した。平成20年に宮内庁楽部の指揮者に就任。雅楽の伝統を守りながら、洋楽も演奏する同楽部で、晩餐(ばんさん)会や午餐(ごさん)会などでの指揮を担当してきた。

 「この11年間で、印象に残る宮中晩餐会の1つ」となったのが、陛下のご即位後の5月、初の国賓として訪れたトランプ米大統領夫妻を招いての晩餐会だ。日米両国の民謡などが演奏され、会場は打ち解けた雰囲気に包まれた。終了後、両陛下からおねぎらいの言葉を受け、「大変風格のある振る舞い、すてきなお人柄に、心を打たれた」。

 祝賀御列の儀で奉祝行進曲が作られるのは、平成2年に当時の同楽部指揮者、近衛秀健氏が作曲した「平成」以来。「非常に格調高く、内容の深い作品。それを引き継ぐ意味でも、重圧や葛藤はあった」と明かす。曲作りでは「国民に届くシンプルさ、日本らしさ」を柱に、奉祝の明るい調べの中に5音階の和の旋律を織り交ぜた。

 10日は自らタクトを振り、皇居・宮殿を出発される両陛下を送り出した。「演奏直前、緊張感の中に何とも言えない力がわいてきた。両陛下がこれからますます輝き、すばらしい時代を築いていかれることを心から願っています」

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