昭和、平成、令和…時代の変遷見守る 豊川稲荷東京別院の茶屋「菊家」の儀賀越子さん

 天皇陛下のご即位に伴い、10日に行われた「祝賀御列(おんれつ)の儀」。天皇、皇后両陛下や皇族方のお住まいのある赤坂御用地に隣り合う豊川稲荷(いなり)東京別院の境内で、昭和、平成、令和と時代の変遷を見つめてきた「菊家」2代目店主の儀賀(ぎが)越子さん(92)は、「すばらしいパレードでした」と振り返った。

 「カチッカチッ」

 店先に並ぶお供え物の油揚げの「お清め」に、火打ち石を擦り合わせる乾いた音が響く。

 儀賀さんが娘の五十嵐穂奈美さん(61)らとともに切り盛りする小さな茶屋には、参拝客のほか、昼時になると、東京では珍しい関西風だしのおでんやうどんを求める常連客がひっきりなしに訪れる。

 昭和23年の創業当時、「染物屋や団子屋、果物屋など、小さな商店がひしめいていた」という同院周辺には現在、大企業のオフィスビルが立ち並ぶ。創業当時、総檜造りの東屋だった店も、前回の東京五輪に伴う道路拡幅で境内の土地が縮小し、数店舗が軒を連ねる現在の文化会館に移転。かつて芸者衆でにぎわった店内は、平成に入り、サラリーマンの憩いの場となった。

 時代の節目に、思い返す印象的な光景がある。昭和天皇の崩御前、当時の東宮御所から、皇居へお見舞いに向かわれる上皇ご夫妻の車が連日、同院の前を通った。他の店主らとともに沿道に並んで敬礼すると、「車がスピードを落として窓が開き、上皇后さまがこちらに向かって丁寧におじぎを返されたのが忘れられない」。深い悲しみの後、上皇さまの天皇ご即位に伴い、平成2年に行われた祝賀御列の儀。沿道の奉祝に応えられるご夫妻は、「それはもう、ご立派でした」。

 令和のパレードは、沿道警備のため店を閉め、自宅のテレビで観覧した。「お二人の仲むつまじい様子に、感銘を受けた。皇后さまが涙ぐまれる場面もあったが、より身近に感じ、ますます好きになった。好天にもめぐまれ、新しい令和の時代に明るいイメージを持てる、良いパレードでした」と笑顔で話した。

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