99歳で現役「世界最高齢のビューティーアドバイザー」がギネス認定

 百貨店の化粧品売り場などでメークを実演し、化粧品を販売する仕事「ビューティーアドバイザー」。99歳で現役ビューティーアドバイザーが広島市にいる。化粧品大手「ポーラ」鯉城(りじょう)ショップ(広島市中区)のビューティーディレクター、福原キクヱさん。約60年にわたって活躍し、現在も35人の顧客を抱え、月間30万円を売り上げている。このほど「世界最高齢のビューティーアドバイザー」としてギネス世界記録に認定され、「天にものぼるような気持ち。死ぬまで頑張りたい」と生涯現役に意欲を見せた。

被爆も経験

 10月1日、広島市内で行われたギネス記録の認定式。福原さんに認定書が授与されると、会場内から拍手が湧き起こった。認定された記録は「99歳171日」。「山あり谷ありだったが、ここまで無事にできたのはお客さまに支えられてきたおかげ。ギネスにも認定されて夢のようです」と笑顔の福原さん。「女性としての身だしなみです」と、ポーラ化粧品でばっちりとメークを決めていた。

 福原さんは大正9年生まれ。18歳のときに上京して美容専門学校に入学。25歳まで東京の百貨店で美容関係の仕事をしていた。その後地元の広島に戻っていたが、昭和20年8月6日、広島に原爆が投下され、福原さんもJR横川駅(広島市西区)付近で被爆。地獄絵図の中を逃げ回ったという。

 戦後に結婚し、4人の子供を出産。そのころの福原さんは、化粧水を塗ると肌にブツブツができるのに悩んでいた。そのときに出会ったのがポーラの女性販売員。勧められるまま試してみると、肌の問題が解決した。35年、自分の担当だったポーラの女性販売員が転勤することになり、「代わりに販売員をやってほしい」と頼まれたことから、ビューティーアドバイザーになった。

60年で3億円売り上げ

 最初は知り合いらに声をかけて買ってもらっていたが、徐々に行き詰まり、新たな顧客開拓に駆け回った。「初めての顧客になってくれた人に商品を買っていただいたときはうれしかった」と振り返る。

 福原さんの営業スタイルは、顧客の悩みを親身になって聞き、自分が良いと思った化粧品を勧める。そのため、月1回はポーラの店舗を訪れて新商品をチェック。ビューティーアドバイザー向け研修会への参加も欠かせない。「まずは自分で使ってみないと、お客さまにお勧めなんてできないでしょ」と福原さん。

 若いときには月間100万円超を売り上げたこともあり、約60年間の総売り上げは3億円を超えるという。「確かにポーラの化粧品は値段が高い。でも、量があるので長く使えます。長い目で見れば、良い商品を買われた方が得です」。営業トークは健在だ。

「もの言える限り現役」

 約3年前から車いすでの生活となったが、電話で顧客と話し、商品の配送は家族が担当している。「ものが言える限りは続けるつもり。次の目標は4億円超えです」と意気軒高だ。一方、いけばなの講師としても活動しており、2センチ四方の折り紙で鶴をつくるのが趣味。千羽鶴にしてビンに詰め込み、被爆者らにプレゼントしているという。

 ポーラによると、同社の女性ビューティーアドバイザーは全国に約4万4千人おり、そのうち約7700人は70代以上。90代も福原さんを含めて約300人いる。なかには親子3世代でビューティーアドバイザーという人もいる。

 福原さんの祝福に駆けつけた同社の横手喜一社長は「高齢化社会が進むなか、いつまでも現役でいることに価値があり、世界に発信することにも意義がある。福原さんのギネス認定は励みになる」と話していた。

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