インフル新薬「ゾフルーザ」の実力は? 耐性ウイルスの検出で人気「一段落」も

ここまで進んだ最新治療

 残暑が去って秋風が吹くと、インフルエンザの季節がやってくる。従来のインフルエンザ治療薬で主流だったのは「ノイミニダーゼ阻害薬」という薬。商品名でいえば、内服薬の「タミフル」、吸入薬では「リレンザ」と「イナビル」が処方されていた。それが昨年3月に「選択的キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬」という内服薬(商品名ゾフルーザ)が発売され、一気にシェア1位となった。

 従来の薬と新薬では何が違うのか。呼吸器内科「池袋大谷クリニック」(東京都豊島区)の大谷義夫院長が説明する。

 「タミフルなどの従来の薬は、細胞の中で増殖したウイルスが細胞の外に出るのを阻害します。一方、ゾフルーザはウイルスが細胞の中で増えるのを直接抑えます。そのため体内からウイルスが消えるまでタミフルは約72時間ですが、ゾフルーザは約24時間と早い。また、タミフルは1日2回(2錠)、5日間服用しますが、ゾフルーザは1回(2錠)の服用で済むところが大きく違います」

 薬を飲む回数が減れば、飲み忘れも減る。ただし、症状が完全になくなるまでの時間は、タミフルもゾフルーザも約54時間で同じという。

 吸入薬のリレンザは、朝晩の2回吸入し、5日間続ける。イナビルは1回の吸入で終わるという使う回数に違いがある。吸入薬は胃腸症状が強く、吐いてしまうような症例に向いている。それとイナビルは1回で済むが、吸入の仕方が悪いと効果が出ない。吸入力の弱い高齢者などは複数回吸入するリレンザの方が向いているという。

 大谷院長のクリニックでは、ゾフルーザが発売された当初は患者の9割が希望したというが、現在、患者が選択する割合はゾフルーザ3割、タミフル3割。イナビル3割、リレンザ1割といった感じだという。ゾフルーザ人気が落ち着いたキッカケは、臨床試験で報告されていたAH3亜型の9・5%に検出されたゾフルーザの耐性ウイルスが、今年1月に実際に検出されたからだ。

 「当院は耐性ウイルスの出現や薬剤の特徴などを説明した上で、患者さんに薬を選んでもらっていますが、医師によってはゾフルーザを勧めない先生もいます。また、抗インフルエンザ薬は症状が1日早く治る効果しかないので、はじめから抗インフルエンザ薬を処方しない先生もいます。どの薬を勧めるかは、医療機関によってかなり幅があると思います」

 耐性ウイルスといっても、ゾフルーザがまったく効かないわけではない。研究では、成人の場合で症状が10時間程度長く続くことが報告されている。抗インフルエンザ薬を飲まなければ症状が治るまで約80時間、薬を飲めば約54時間、耐性ウイルスだった場合には約64時間と、治りが少し遅くなるというわけだ。

 また抗インフルエンザ薬は飲むタイミングも重要。発症から48時間以内に飲まなければ効かないことも知っておこう。(新井貴)

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