生肉、生レバーは絶対ダメ! 秋の季節にリスク高まる「E型肝炎」の恐怖

食と健康 ホントの話

 まだまだ猛暑は続くが、暦の上ではもう秋。これから季節が深まると旬の食材としてジビエと呼ばれる、野生の鳥獣の食肉がもてはやされる。実は、ジビエの食材となるイノシシやシカ、そして豚の肉には、E型肝炎のリスクが高いことが知られている。

 2012年に焼き肉店で牛レバ刺しを食べた人が食中毒で亡くなったことを受け、同年より店頭での牛レバ刺しの提供は禁止された。それを残念に思った人の一部が、豚レバ刺しを食べ、E型肝炎に罹患する人が増えたことがある。もちろん現在は、牛とともに加熱用以外の豚生レバーも提供が禁止されている。

 感染症に詳しい、東京大学医学研究所先端医療研究センターの四柳宏教授によると、E型肝炎ウイルスには1~4の遺伝子型があり、1と2型は東アジア、南アジアで罹患(りかん)者が最も発生しているという。

 「1、2型はヒト以外にはかかりませんが、3、4型は人畜共通感染症で、日本では北海道の一部地域で発生が見られます。そのため、日本人のE型肝炎発症は国内での感染が多い状況です」

 感染経路はA型肝炎と同様、経口感染だ。E型肝炎に感染したイノシシ、豚、鹿などの肝臓でウイルスが増え、それが腸管に出されて糞として出され、水が汚染される。そのような汚染された環境(豚舎)で育った獣の、とくにレバーやホルモンを、よく火を通さずに食べると感染リスクが跳ね上がる。

 「焼き肉用の豚肉であっても、生は危険です。どうやって解体されてどのような形でトリミング(血液や汚染されている部分を取り除き整形すること)されているかわからないからです。ただ、圧倒的に肝臓のほうがリスクが高いので、レバーを加熱不十分なままで食べることは、あってはいけないことです」

 E型肝炎の危険性が世界中に知らしめられたのは、インド・ネパールを流れるガンジス川流域で大流行し、大勢の妊婦が亡くなったことから。ガンジス川は聖なる川として沐浴(もくよく)する人が多く、その川には動物の死骸だけでなく、一部の人の死骸も流される。胎児を宿した妊婦の免疫力は、妊婦の免疫にとって異物である胎児に影響が出ないように低下しているため、このような悲劇が起きた。妊娠後期の妊婦が感染すると劇症化しやすく、致死率が20%にもなるという。

 症状はほとんどA型肝炎と同じで、発熱、全身倦怠感、腹痛、おう吐、下痢、黄疸(おうだん)など。妊婦が劇症化すること以外のA型肝炎との違いは、E型は慢性化することがまれにあること、そしてワクチンがないことだ。

 E型肝炎にならないためには、生の肉、特にレバーやホルモンは食べずに、食べるときはよく火を通すこと。中心部が85~90度で90秒間以上加熱するといいだろう。

 ウイルス性肝炎に限らず、海外に出かけるときは、厚生労働省検疫所が運営する『FORTH』(https://www.forth.go.jp/index.html)のサイトで、どんな感染症が流行しているかを確認してほしい。

 また、主に性交渉で感染するB型肝炎に、海外で感染する人が少なくない。長めに渡航する人は過信せず、ぜひワクチンを接種してほしい。基本は4~6カ月間に3回の接種だが、時間がなければ日本で2回接種し、帰国後に3回目を接種しても大丈夫だ。(医療ジャーナリスト 石井悦子)

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