もしかして…それ「膵がん」の危険因子!? 専門家「急な高血糖、糖尿病、肥満、大量飲酒…」

【雇用延長時代を生きる健康術】

 60代で急に血糖値が高くなり、2型糖尿病と診断されることがある。「食生活に注意していたのになぜ?」。その背後に、膵(すい)がんが潜んでいることがあるのだ。

 「血糖値をコントロールするホルモンの一種・インスリンは、膵臓で分泌されます。膵がんによって細胞が破壊されてインスリン分泌量が減少すると、血糖値が上がるのです。急に血糖値が高くなるのは、膵がんの危険なサインのひとつといえます」

 こう指摘するのは、がん・感染症センター都立駒込病院の神澤輝実院長。長年、膵がんの診断・治療・研究を行い、膵がんの早期発見にも尽力している。

 膵がんで亡くなる人は、国内で年間約3万4000人(厚生労働省2017年「人口動態統計」)。肺がん、大腸がん、胃がんに次いで第4位。膵がん発症は年間4万人と推計され、死亡率と罹患率の差が少ないことから、難治性の高いがんのひとつといわれる。その理由のひとつが、早期発見の難しさにある。

 ◆1センチ以下早期発見

 「膵がんを克服するには、1センチ以下の早期段階で見つけることが重要です。しかし、早期段階では自覚症状はなく、小さな膵がんは腹部超音波検査やCT検査でも見つけるのが難しい。だからこそ、危険因子を知ってリスクの高い人は、MRI(磁気共鳴画像診断)による胆管膵管撮影(MRCP)検査を定期的に受けていただきたいのです。そして、MRCPで少しでも異常があれば、超音波内視鏡検査を受けてほしいと思います」

 膵臓は胃の裏側に位置するため、お腹に当てて検査する腹部超音波検査では、膵臓の状態を詳細に見るには限界がある。超音波内視鏡検査は、先端に超音波のついた内視鏡を胃や十二指腸へ入れることで、膵臓の状態を明瞭に調べることができる。さらに、カテーテルという細い管で造影剤を入れて調べる内視鏡的逆行性膵管造影検査を用いて膵液細胞診を行うことにより、早期の膵がんを見つけることは可能だ。

 「急に高血糖になった人はもとより、糖尿病、肥満、大量飲酒、ご家族に膵がんの方がいる家族歴を持つ方、慢性膵炎、膵のう胞などの膵臓の病気の人などが膵がんの危険因子です。特に、複数のリスクを抱えている人は注意が必要です。一度は、膵臓の詳しい検査を受けてください」

 膵臓は細長い形をしており、十二指腸から離れた「膵体尾部(すいたいびぶ)」に膵がんが生じると、さらに自覚症状が乏しくなる。膵がん全体で膵体尾部に生じるのは約半数。背中の痛みなど自覚症状が伴い進行がんで見つかることが多い。

 近年は薬物療法や放射線療法、手術の組み合わせで、予後が改善する人も増えつつあるが、他のがんと比べて、治療が難しいケースは依然として圧倒的に多い。

 「膵がんも早期発見・早期治療が大切です。その心掛けを多くの方に持っていただきたいと思います」と神澤医師は警鐘を鳴らす。(安達純子)

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