改善のカギは直に触れることか 過去最悪の日韓関係、双方の感情に隔たり

 いわゆる徴用工問題や韓国艦艇による自衛隊機への火器管制レーダー照射問題の影響で、「過去最悪」といわれる日韓関係。解決の糸口が見えない中、韓国の印象が「良い」と感じる日本人が過去最低となった一方、日本の印象を「良い」と感じる韓国人は過去最高になったことが、民間機関の調査で明らかになった。こうしたアンバランスは、なぜ生まれているのか。(大渡美咲)

 調査は今年5~6月、日本の民間非営利団体「言論NPO」と韓国のシンクタンク「東アジア研究院」がそれぞれ18歳以上の約1000人を対象に実施。

 これによると韓国の印象が「良い」と答えた日本人は過去最低の20・0%で、最も高かった25年の31・1%から大きく下落。対照的に韓国では日本の印象が「良い」と答えた人は過去最高の31・7%。25年(12・2%)から毎年改善している。

 日韓ともに「良い」との回答は20代未満の若い世代が多く、日本は全体の36・0%、韓国は57・1%に上る。「良い」の理由は、日本では「韓国の食文化や買い物」が52・5%と最多で、次いで「韓国のドラマや音楽などの文化に関心がある」の49・5%。韓国では「日本人は親切で誠実」が最多の69・7%、次いで「生活レベルが高い」が60・3%だった。

 「良くない」の理由は、日本は「歴史問題などで批判し続けるから」が最多の52・1%、「竹島をめぐる領土対立」が25・7%。対する韓国は「侵略の歴史を反省していないから」が76・1%、「独島をめぐる領土対立」が57・5%となった。

 日本企業に対していわゆる元徴用工へ強制労働の賠償を行うよう命じた韓国最高裁の判決については、日本では「評価しない」が58・7%。解決方法については「分からない」が28・4%、「第三国を交えた仲裁委員会設置や国際司法裁判所への提訴」が22・2%だった。韓国では58・1%が「判決に従い日本企業が賠償すべき」と回答した。

 自衛隊機へのレーダー照射では日本の62・9%、韓国の61・9%がそれぞれ「自国政府の主張が正しい」との認識を示した。

 現在の日韓関係については、両国とも6割超が「悪い」と認識。韓国では70・8%が「改善に向け努力すべき」と回答したが、日本側は40・2%にとどまる。

 日本の対韓感情の悪化は昨今の政治情勢とリンクしているが、韓国側の日本への感情は意外なほど良好といえる。

 調査を行った言論NPOの工藤泰志代表は、「日本を訪れる韓国人旅行者の増加が背景にある」と指摘。訪日韓国人は平成25年の245万人から31年は753万人と3倍以上に増えており、「日本を直に訪れ、生で触れた感触を通じて日本に好印象を持つ人が多くなっている」と分析した。

 東アジア研究院のソン・ヨル代表も「SNSを主な情報源にしている20~30代の若い世代は、(いわゆる)徴用工などの問題に関心が薄い」と指摘した。

 こうした結果を受けて、政治家や研究者、元外交官らが日韓間の懸案や解決法を話し合うフォーラム「日韓未来対話」(言論NPOなど主催)が6月22日、東京都内で開かれた。

 フォーラムでは、いわゆる徴用工問題を巡り出席した自民党国会議員と韓国与党議員が応酬する場面もあったが、両国の政治・外交関係がこれ以上悪化するのを防ぎつつ、市民レベルの交流を拡大することが重要との指摘が多く出された。

 元駐日韓国大使のシン・ガクス氏は、「北朝鮮情勢が悪化すれば、最大の被害を受けるのは日韓両国。戦略的対話が必要だが、コミュニケーションがうまくいっておらず、誤解が生まれている」。韓国与党「共に民主党」のノ・ウンレ議員は、「政治的な関係だけで両国関係を見る時代は終わった。冷静で温かい視線を持ち、民間交流を活発にすることが大切だ」と話した。

 日韓関係に詳しい慶応大の西野純也教授は、「1990年代以降、政府レベルだけでなく市民レベルで日韓交流が進んだ一方、いわゆる世論の影響を無視できない状況が生まれた」と指摘。「現在の局面では、両国の政治リーダーが日韓関係を破綻させないという強い意志を発信する必要がある」と注文をつけた。

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