「ストロー発祥の地」が示すプラスチックの将来

 海洋汚染など環境問題への取り組みとして国際的に規制が進むプラスチック製品。代替する紙製ストローは仕入れ値が高く、廃棄プラスチックを再利用した衣服は製造コストがかかるなど、企業が難しい対応を迫られる中、国内で「ストロー発祥の地」を名乗る岡山県浅口(あさくち)市では、医療・工業用などへの用途拡大を図る企業の支援に乗り出す。

 ■外資系が先導

 「(口当たりは)牛乳パックを思い出すでしょう」とバーテンダー。ANAクラウンプラザホテル岡山(岡山市)のバーで注文したアイスコーヒーに添えられたストローは、紙製だった。

 同ホテルは昨年7月、館内の飲食施設でプラスチック製ストローの使用をやめ、紙製に切り替えた。それまでは年間で1~2万本を使っていたという。同ホテルは英インターコンチネンタルホテルズグループのIHG・ANA・ホテルズグループジャパン(東京都)が運営。広報担当者は「グループの意向を受け、いち早く脱プラスチックに取り組んだ」と話す。

 紙製ストローはプラスチック製に比べて仕入れコストは4~5倍かかるといい、水分でふやけないよう耐久性を高めるため紙にもさまざまな工夫が必要。それでも同ホテルは「社会貢献を考えた」(広報担当者)と当面は紙製ストローを使用する方針だ。

 こうした動きは海外が先行。米マクドナルドが昨年9月から英国とアイルランドでストローを紙製に切り替えるなどしており、国内でも欧米の外資系企業がこの動きを先導している。

 ■医療・工業用に

 こうした世界の潮流に気をもむのが、プラスチック製ストローの生産地。岡山県浅口市産業振興課の担当者は「市内にはプラスチック製ストローを作る企業が比較的多く残っており、懸念材料だ」と打ち明ける。

 同市はもともと小麦が特産品。明治時代に麦の茎を使ったストローが作られるようになり「ストロー発祥の地」になったとされる。

 一方、プラスチック製ストローは飲料だけではなく、医療現場で使う鋭利な器具のカバーや、バネやナットといった機械部品の容器としても使われる。このため同市では一連の脱プラスチックの動きを受け、飲料以外の医療・工業用などへの用途拡大に取り組む企業を支援する考えだ。

 同市内にある国内トップシェアのストロー製造・販売「シバセ工業」は、タピオカミルクティーのブームを受けて口径の大きいストローが好調で「飲料用の需要が急に減るとも思わない」としながらも、「医療用、工業用の割合は増えていくだろう」とみる。

 ■社会貢献を意識

 同市の栗山康彦市長は「悪いのは不法投棄であって、マナーの問題だ」と指摘する。だが、ストロー以外でも脱プラスチックの動きは進んでいる。

 紳士服大手の「はるやま商事」(岡山市)では今春、ペットボトルの再生原料で作ったビジネスシャツ「エコアイシャツ」のネット通販を始め、プラスチックを使わない包装を取り入れた。

 1着あたり、500ミリリットルのペットボトル8本から再生したポリエステルを100%使用。綿素材よりしわがつきにくい性質を生かし、型崩れ防止のプラスチック包装を使わず、紙箱に入れて配送している。

 コストは従来品よりかさむが、価格は据え置いた。広報担当者は「環境問題が注目されるなかで、コストよりも社会貢献を考えた」と強調している。

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