「世界に1匹だけ」 日本で作りだされたニシキゴイの魅力

 ニシキゴイは江戸時代の中~後期に、当時越後二十村郷と呼ばれた信濃川東岸の山間部に点在する集落(現在の新潟県長岡市、小千谷市、魚沼市の一部地域)で作り出されたといわれている。筆者の出身地もこれらの地域に近い所だが、この一帯は日本一の豪雪地帯であり、物資の流通も滞ってしまう。そこで当時の人々は、傾斜地に作った棚田でクロコイ(食用鯉)を養殖し、冬場の重要なタンパク源としていた。

 それらクロコイの中から、突然変異でたまたま赤や白の色のついたコイが出現した。新潟の人々はこういった変異種を交配することでより美しいコイを作り出すことに熱中した。ニシキゴイの品種改良は交通機関もない時代、人々の数少ない楽しみのひとつだった。

 戦後になって交通機関の発達や輸送法の確立により、ニシキゴイの養殖、販売、飼育は全国に広がった。現在では、品種も100近くになり、輸出されている。大手のカミハタ養魚グループでは、国内のみならず、世界50カ国以上に観賞魚用飼料を輸出している。

 特にこの10年で海外からの需要が大きく伸びており、現在では売り上げの8割が海外で占められるといわれるほど。世界中で「NISHIKIGOI」という名称が観賞用のコイを意味する言葉として用いられている。

 ニシキゴイの魅力は次の5点に要約される。

 (1)同品種であっても1匹として同じもののない模様、色彩、体形を持っており「世界に1匹だけ」。

 (2)性格が温和でお互いに争わず人間にも慣れやすいため、観賞のみならずコミュニケーションができる。

 (3)品種が多く、色彩、模様のバラエティーが豊富で、品種選びも楽しい。

 (4)温帯性の淡水魚なので国内飼育で水温、環境への順応性が高く、比較的手軽に飼育できる。

 (5)寿命が長く(20~30年、なかには100年以上生きた例もある)、長期間楽しめる。

 今年2月に「第50回記念全日本総合錦鯉品評会」が行われた。日本全国からえりすぐりのコイが集まり「世界一のニシキゴイ」を決める大会。今年のチャンピオンは広島で生まれた「紅白」という品種で、色彩なども美しく体長も1メートルを超える立派なニシキゴイだった。こういったチャンピオンは価値が高く、昨秋の競売では2億円以上の値段がついた。

 広い池で飼育するイメージがあるニシキゴイだが、実は水槽で飼育することも可能だ。水槽で横から見て美しい魚は案外リーズナブル(数百円~数千円程度)で手に入る。

 もちろん庭池で大きく成長させて楽しむのもよし。ニシキゴイはライフスタイルに合わせてさまざまな楽しみ方ができる「ペットフィッシュ」といえるだろう。

 ■越村義雄(こしむら・よしお) 一般社団法人「人とペットの幸せ創造協会」会長。同ペットフード協会名誉会長。一般財団法人日本ヘルスケア協会理事、「ペットとの共生によるヘルスケア普及推進部会」部会長など。

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