早期発見・早期治療へ…がん検診「見落とし」を防ぐための施設選び

【雇用延長時代を生きる健康術】

 2人に1人はがんになるといわれる時代、早期発見・早期治療は雇用延長時代に働き続けるため重要だ。その一助となる「がん検診」で検査の質が問われている。昨年、東京都杉並区のクリニックにおける肺がん検診での相次ぐ見落としが発覚し、肺がんで亡くなった人までいたからだ。これでは検診の意味がない。

 「がん検診は、がんを見つけるための検査ですが、必ずしもがんに詳しい医師が検査内容をチェックしているとは限りません。施設によって差があるのです。それが受診者にわかりづらいことが問題だと思っています」

 こう指摘するのは、国立がん研究センター社会と健康研究センター検診研究部の中山富雄部長。呼吸器内科医として数多くの肺がん患者の診断・治療を行い、現在、がん検診の疫学研究に力を注ぎ、がん検診ガイドライン策定などにも関わっている。

 「一般的に、医療過誤を防ぐため、仮にがんと診断されたら、ご自身でがん治療に詳しい医療機関を調べて受診すべきといわれますね。がん検診も、医療機関をよく調べて選択すべきです」

 がん検診で厚労省が推奨しているのは、男女共通の胃がん、肺がん、大腸がん、女性の乳がん、子宮頸がん(別項参照)。中山医師によれば、この5項目に力を入れて専門医などもそろえている施設が、選択するときのチェックポイントになる。胸部エックス線検査などの画像診断では、2人以上の医師が確認する「二重読影」を行っているかもチェックをしよう。

 一方、がん検診の施設では、CT画像検査やPET(ポジトロン断層法)検査など、先の5項目以外のさまざまな検査方法を導入しているところもある。たくさんのオプションがあった方が、いろいろながんが見つかると考えがちだが、決してそうではないという。

 「5項目のがん検診は、早期発見・早期治療につながることで集団の死亡率が下がる科学的根拠(エビデンス)があります。他のがん検診については、まだ科学的な証明がなされていないのです。がん検診を活用するときには、5項目に力を入れている施設かどうかが、重要です」

 職場では、労働安全衛生法で定める健康診断や特定健診と合わせて、5項目のがん検診を導入しているところもあり、職場で指定されている場合、受診者が施設を選ぶのは難しい。また、自身でがん検診を選ぶときに、ホームページを見ても専門性の高さなどはわかりにくい。

 「ホームページでは、どのような医師が検査を担当しているか、専門資格などを見ると同時に、受診者数やがんの発見率をチェックしましょう。がんの発見率が記載されていないときには、直接電話で聞いてみてください。がん発見率が即答できるような施設が、ひとつの目安になります」

 中山医師はそうアドバイスする。(安達純子)

 ■厚労省推奨のがん検診

 □胃がん検診…50歳以上が対象。2年に1回。問診、胃部X線検査または胃内視鏡検査

 □肺がん検診…40歳以上が対象。年に1回。問診、胸部X線検査、場合により痰を採取する喀痰細胞診を実施(胸部CT検査は、要精密検査と判定されたときに行われる)

 □大腸がん検診…40歳以上が対象。年1回。問診、便潜血検査(大腸内視鏡検査は、要精密検査と判定されたときに行われる)

 □乳がん検診…40歳以上が対象。2年に1回。問診、乳房X線検査(マンモグラフィ)

 □子宮頸がん検診…20歳以上が対象。2年に1回。問診、膣鏡を膣内に挿入する視診、子宮頸部の細胞診

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ