「5月病」ならぬ「6月病」新入社員は要注意 業務本格化、軌道乗れず

 新入社員は「5月病」ならぬ「6月病」に要注意?! 精神的に不安定となるのは「5月」。定説のようになってきたが、そんな時期に異変が生じているようだ。企業の最新調査では、研修から本格業務に移行するタイミングと重なり、体調不良を訴える人が「6月」に相次ぐという結果に。5月に過去最長の10連休があった今年、専門家は「会社に適応していく時期に休みが続いたことで、例年以上に軌道に乗れない可能性がある」と指摘する。(伊藤真呂武)

 「5月病」と拮抗

 眼鏡ブランド「Zoff(ゾフ)」を展開するインターメスティック(東京)が今年4月、新卒採用を行っている企業400社の人事担当者を対象にアンケートを実施。新卒社員の精神状態が最も不安定になる時期を尋ねると、「5月」が42・8%、「6月」が38・8%と回答、拮抗した。46・8%が「6月病」の増加を実感しているという。

 具体的に見られる状態(複数回答)として、「会社に来なくなる」と「周囲とのコミュニケーションを取らなくなる」がいずれも46・5%。次いで、「物事に集中できなくなる」(21・3%)などが挙がった。

 一般的に「5月病」と呼ばれる症状は「適応障害」という精神疾患。ストレスが原因で不安や怒り、焦りなどの感情のほか、暴飲暴食、無断欠席、無謀な運転やけんかなどの攻撃的な行動が表れることもある。

 民間企業で産業医経験がある産業医科大の廣尚典(ひろ・ひさのり)教授は「新しい環境への適応がうまくいかないという点では『5月病』も『6月病』も同じ。新卒社員の場合、最初は緊張感などで踏ん張り、時期がずれることはあり得る」と指摘する。

 公立の養護学校に勤める教員の女性(35)は「新人のころは仕事内容にも人間関係にも慣れず、大変だった。上司に自分の意見を言うこともできずに溜め込んでしまった。友達に電話したり、遊んだりするなど憂さ晴らしして乗り切った」と振り返る。

 同じ時期に、上司の態度が豹変し、苦しんだ人もいる。新卒で京都市の機械メーカーに就職した女性(26)は当時、5月の連休明けに、上司からパワーハラスメントを受けるようになった。通常業務の前に掃除を命じられ、何をしても嫌みを言われた。

 新人教育でマンツーマンの指導で逃げ場はなかった。神奈川県出身で身近に友人がおらず、同期の中でその部署に配属されたのも1人。精神的に不安定になり、人間関係に悩んだまま、1年半後に退職した。

 女性は「業務自体はやりがいがあった。周りの人は慰めてくれたが、誰も上司に直接注意してくれなかった」と打ち明ける。

 ゾフのアンケートでは、過去3年間で入社後3カ月以内に新入社員が辞めた企業は51・3%に達した。

 企業側も配慮を

 廣教授によると、新卒社員と企業側の双方に心がけた方が良いことがある。

 新卒社員でジムに通ったり、習い事を始めたり、急激に自分を変えようとする人がいるが、それがストレスになるケースもある。廣教授は「社会人になるだけでも大きな環境の変化で、知らないうちに緊張が高まっている。破綻すれば、不調を招く」と強調する。

 企業側は研修段階で具合を悪くする人や、普通の人よりストレスに敏感な人を見極める必要がある。「メンタルヘルスの問題が浸透し、本人から訴え出ることも増えてきた」(廣教授)といい、配属の際に申し送りをすることや、上司に指導方法について注意喚起することも大事だという。

 今年は異例の10連休を挟んだ。「これから適応していく時期に休みが入り、軌道に乗れない人が出る一方で、心身ともにきつくなる時に一息つけて、不調を取り戻せる人もいる」。廣教授はこう見ている。

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