パンダ貸与は日中関係の現状示す“バロメーター”

 12日に2歳を迎える上野動物園(東京都台東区)のジャイアントパンダの子供、シャンシャン(香香、雌)は、6月にも行われる予定だった中国への返還が来年12月まで延期になった。背景には日中関係の改善があるとみられるが、両者の関係は、過去にもパンダの貸与に大きな影響を与えてきた。小池百合子都知事は今夏に知事として初めての訪中を予定しており、専門家は、パンダは中国との関係を示す“シンボル”と指摘する。

 「中国側の理解で、引き続き皆さんに見てもらえることができ、感謝申し上げる」。小池知事は5月末に返還延期を公表した際、中国側との協議内容については明言を避けたが、知事に近い都関係者は、「最近、知事が会食を続ける大物政治家のおかげだろう」との見方を示した。

 大物政治家とは自民党の二階俊博幹事長。二階氏は4月、北京を訪問した際の国際会議で両国の友好関係の重要性を説いた。安倍晋三首相も「完全に正常な軌道へと戻った」と両国の関係改善をアピール。都関係者は、こうした関係性が返還延期の要因とみる。

 中国政府は絶滅危惧種のパンダを外国に提供することで関係強化を図る“パンダ外交”を展開してきた。

 日本にパンダが初めて来たのは、昭和47(1972)年の日中国交回復を記念したカンカンとランラン。以降は上野動物園にパンダが少なくとも1頭はいる状況が続いたが、平成20年にリンリンが死亡すると、「パンダ不在」の状況となった。

 このころ、同園の杉野隆教育普及課長は、新たなパンダの導入を石原慎太郎知事(当時)に要請。中国の胡錦濤国家主席(同)がつがいの貸与を表明したが、年間95万ドル(約1億円)とされる「保護資金」名目の高額な貸与料に、石原氏は「友情の証しで金を取るというのはどんなものか」などと反発し、パンダは不要とする立場を打ち出した。だが、来園客らの要望が相次いだためか、決断を一転。23年2月、シャンシャンの両親であるリーリーとシンシンが来園した。

 同年12月の日中首脳会談の際には、八木山動物公園(仙台市)への新たなパンダの貸与にも合意。だが、翌年の尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化で関係が悪化したため実現に至らなかった。

 「パンダ外交」の著書がある東京女子大の家永真幸(まさき)准教授は「日本や中国、東京都それぞれの政治的思惑やタイミングが合致すればパンダの貸与は実現する。そうでなければ難航する」と指摘。「だからこそ演出に使われるパンダは、三者の関係性を示すシンボルといえる」と話した。(植木裕香子)

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