世界遺産勧告 観光業界が熱視線 継続的な誘客に課題も

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関イコモスが「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」(大阪府)を世界文化遺産に登録するよう勧告したことで、観光業界は早くも熱い視線を注いでいる。一方ですでに国内には世界文化遺産が数多くあり、一過性のブームに終わらせない継続的な誘客という課題もある。

 東京都千代田区の旅行会社「ユーラシア旅行社」は15日から、セスナ機に乗って上空約500メートルから古墳群などを見渡す遊覧飛行を含む2泊3日のツアーを初めて実施。半年前からツアーの募集を開始し、年明けから徐々に申し込みが増えたといい、担当者は「正式に(世界遺産への登録が)決まれば、さらに増えるはず」と、今後に期待を寄せた。

 国内の他の世界文化遺産では、登録後に観光客が急増している。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産群」(長崎、熊本県)では、昨年7月の登録決定後の9カ月間で、前年比5割増となる約69万人が来訪。26年6月に登録された「富岡製糸場」(群馬県富岡市)でも、毎年10万~20万人だった訪問者が登録後には100万人以上に跳ね上がった。

 ただ、5年に「法隆寺地域の仏教建造物」(奈良県)が初めて登録されて以降、国内の世界文化遺産は既に18件に上る。希少価値はなくなっており、一時的なブームではない「定着」へつなげるという課題もある。

 奈良県立大の新井直樹教授(観光政策)は、「一時的には観光客は増えるが、他の登録地でも継続的に客足が維持されているところは少ない。百舌鳥・古市古墳群の場合、宮内庁が厳重に管理する特殊な場所で、一般の立ち入りが禁止されている部分が多いのがネックになる」と指摘。「持続的に人を呼び込むためには、自治体レベルではなく国、宮内庁を含めた判断が必要になるだろう」と話している。

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