相次ぐ政治家の失言 私たちが学ぶべきことはあるのか

 政治家の失言が相次いでいる。今月5日に塚田一郎元国土交通副大臣が道路整備をめぐる「忖度(そんたく)」発言で事実上更迭され、そのわずか5日後には桜田義孝前五輪相が東日本大震災をめぐる失言で辞任に追い込まれた。専門家は、桜田氏らの言動をどう見ているのか。そして、政治家の失言から私たちが学ぶべきことはあるのか。(有年由貴子、細田裕也)

 「復興以上に大事なのは、高橋さんだ」

 桜田氏は10日夜、岩手県出身の高橋比奈子衆院議員のパーティーでこうあいさつした。直後に記者団から発言について問われ、「記憶にない」とはぐらかしたが、一気に批判が拡大。その日のうちに辞表を提出し、謝罪した。

 過去にも桜田氏は、サイバーセキュリティー担当相を兼務するにもかかわらず「自分ではパソコンは打たない」と国会で発言。被災地の宮城県石巻市を「いしまきし」と言い間違える委員会答弁を繰り返した。

 なぜ、失言するのか。コミュニケーション能力の研修事業を手がける「話し方研究所」(東京)の福田賢司代表によると、失言を招くものとして、(1)大勢を前にしたスピーチや酒席といった「場の要因」(2)予想外の質問をされたり反論されたりした際の「他者要因」(3)気の利いたことを言おうとして失言を招く「自発要因」-がある。福田代表は「そうした場に直面しやすいのが政治家だが、桜田氏は以前から表現力や慎重さを欠いていた印象がある」と分析する。

 失言を防ぐには「相手にどう聞かれるか」との視点が不可欠で、福田代表は自分の発言を客観的に吟味する習慣が必要と指摘する。

 「考え無しに物事を言ってしまう人は、少しテンポを遅らせることが有効」と話すのは甲南女子大学の山田尚子教授(心理学)。桜田氏は、競泳女子の池江璃花子(りかこ)選手が白血病を公表した際に「がっかりしている」と述べて批判を浴びた。山田教授は「否定的な意味合いの『がっかり』を、中立的な『残念です』と言い換えることもできたはず」。日頃から、言い換えのレパートリーを増やしておくことも効果的だ。

 半面、相手の顔色や空気を読みすぎることは、弊害になるとの意見もある。

 対人コミュニケーションに詳しい近畿大の堀田美保教授(社会心理学)は「言うべきことを言えない状況や人間関係が生まれると、ストレスがたまったり、組織の不正を見過ごしたりする原因になることがある」とし、「互いの違いを尊重しつつ、コミュニケーションを取っていく姿勢も重要ではないか」と話した。

 ■過去にも相次ぐ

 失言は、政治家にとって特にリスクが高い。安倍政権はこの2年間で、政務三役の辞任が相次いだ。桜田義孝前五輪相辞任直前には、塚田一郎元国交副大臣が道路整備に関し、安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相への「忖度」と発言したことを受け、辞任したばかり。

 平成29年4月にも、東日本大震災が「まだ東北でよかった」と発言した今村雅弘復興相(当時)が事実上の更迭。同3月には、豪雨被害視察で長靴を用意せずに職員に背負われ、水たまりをわたった務台(むたい)俊介内閣府政務官(同)が「長靴業界はだいぶもうかった」と発言、引責辞任した。

 さらにさかのぼると、15年には、太田誠一元総務庁長官が、早大生らによる女子大生集団暴行事件について「集団レイプする人はまだ元気があるからいい」。19年に柳沢伯夫(はくお)厚生労働相(同)が女性を「産む機械」、久間章生(きゅうまふみお)防衛相(同)が「原爆投下はしようがない」と述べ、批判を集めた。

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