「道の駅」防災対策進まず

 ドライバーの休憩場所や地域の情報発信を担う「道の駅」。発生から間もなく3年となる熊本地震で存在感を示すなど、近年は災害時の避難や救助、情報発信の拠点としても期待されるようになり、“ヘリポート”や蓄電池を備えた施設も出てきた。しかし、こうした道の駅は一部で、多くは防災対策が遅れている。非常用発電機や災害時対応トイレが未整備だったり、防災訓練を実施していなかったりする施設が多く、非常時に防災機能が果たせない恐れがある。(細田裕也)

 ■駐車場にヘリ

 「駐車場には車止めがありません。なぜかというと、災害時、物流の拠点になったり、ヘリが離着陸したりする可能性があるためなんです」。大阪府河内長野市の道の駅「奥河内くろまろの郷(さと)」の柏本優介施設長(38)が話す。

 同施設はオープン当初から観光面だけでなく、防災の拠点との位置づけがあった。敷地内には太陽光発電システムと蓄電池がある。災害で停電しても、導入されている公衆無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」は引き続き使用でき、インターネットでの情報取得が可能だ。簡易な便座やパネルを設置することで断水時でも利用できる「マンホールトイレ」も備わっている。

 新潟県中越地震(平成16年)や東日本大震災(23年)では、車で移動していた被災者らが食料やトイレがある道の駅に一時身を寄せた。熊本地震(28年)では、被災地に向かう自衛隊の前線基地としても活用された。こうした経緯から、国は道の駅の防災拠点化を推進している。

 しかし、このように災害を想定し、対策を進めている道の駅は少ない。

 ■6割が何もなし

 総務省近畿管区行政評価局は3月、福井県を含む管内2府5県の道の駅145カ所を対象に防災機能に関するアンケートを公表。それによると、8割がWi-Fiを整備していたが、停電時に24時間以上利用できる対策が講じられている施設は約5%にとどまり、非常時の情報提供手段の課題が浮上した。

 また非常用発電機や貯水・受水槽、災害時対応トイレといった防災設備を一つも備えていない駅は6割以上に上った。

 調査ではハード面以外の課題も明らかになった。

 災害時の対応などについて市町村が定める地域防災計画で、防災拠点と位置付けられている道の駅は全体の3割弱にとどまった。

 位置づけられていない理由についてアンケートで道の駅や市町村に尋ねたところ、「(道の駅で)避難者の受け入れ態勢が整備されていない」「近隣に避難所があるため、防災の必要性を検討したことがない」との回答があった。

 ■九州、東北も

 このほか、過去に防災訓練を実施したと回答した道の駅は2割弱。「大きな災害が起きたことがなく、訓練を検討したことがない」との理由だった。

 調査結果を受け同評価局は、国土交通省近畿地方整備局に対し、必要な改善措置を講ずるよう求めた。ただ、こうした防災対策の遅れは全国で共通している。

 総務省九州管区行政評価局が30年に公表した九州の同様の調査では、防災拠点と位置付けられていた道の駅は3割強。東日本大震災の被災地を管内に持つ同省東北管区行政評価局の調査(28年公表)でも、防災拠点となっていた道の駅は6割弱だった。

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