埼玉県内初の公立夜間中学に尽力 野川義秋氏「長年の夢がかなった」

 埼玉県内初の公立夜間中学「川口市立芝西中学校陽春分校」が16日に開校し、新入生80人が入学式に臨む。「長年の夢がかなった。本当にうれしい」と喜ぶのは、30年以上にわたり県内で公立夜間中学の設立運動に携わってきた「埼玉に夜間中学を作る会」代表の野川義秋さんだ。川口自主夜間中学の副代表も務める野川さんに、これまでの経緯や新校への期待を聞いた。(大楽和範、写真も)

 --夜間中学とのかかわりは

 「20代のころ、東京都の土木技術職員をしながら東洋大学社会学部の2部(夜間部)に通ったのがきっかけだ。夜間中学をテーマに卒業論文を書いたことで、関係者とつながりができた。昭和60年2月に千葉県市川市で開かれた夜間中学の集会で、『埼玉でも夜間中学を作る運動を始める』と宣言した」

 --運動の具体的な中身は

 「『埼玉に公立の夜間中学を作る』とは言っても、公立である以上、すぐに設立できないことは分かっていたので、宣言から半年後に『作る会』を発足させて、その後、『川口自主夜間中学』を始めた。今年で34年目を迎えるが、これまで2千人以上が学んだ。現在も10~70代の約70人が在籍している。日本人以外にも中国や韓国、パキスタン、ペルー、イラン、ベトナムなど国際色豊かだ。加えて月1回の署名活動も長年続けてきた」

 --自主夜間中学の生徒で印象に残っている人は

 「まだ始めてまもないころ、子育てを終えた主婦が川口自主夜間中学をテレビ番組で知って学びに来られた。幼少時代は寺や旅館に奉公に出なければならず、小学校も満足に通えなかったそうで、熱心に机に向かって勉強していた。その主婦の人も公立の夜間中学ができることを心待ちにしていたが、病気で亡くなられた。こうした生徒の思いも運動の原動力になった」

 --いよいよ県内初の公立夜間中学が開校する

 「川口市長には『よくぞ、設立を決断してくれた』と感謝している。川口自主夜間中学からも7人ほどの生徒が入学する。新校が学び直しや日本語の習得といったさまざまな目標を持って入学する生徒にとって欠かせない場所であり続けてほしい。今回の開校を埼玉での夜間中学設立運動の新たなスタートとし、2校目、3校目の開校を目指したい」

 --教える側の態勢は

 「県内初だけに、先生たちも勝手が分からないはずだ。私たちは長年、自主夜間中学の運営に携わってきたので、ノウハウがある。今後、市に積極的に働きかけてスタッフの派遣などを行っていきたい」

 --一方、川口自主夜間中学の今後は

 「当然、これからも続けていく。公立夜間中学は一般の中学校と同じように全科目を履修する。このため、学ぶ意欲はあるものの、学ぶことに慣れていない人にとってハードルが高い。そうした人たちにとって『助走』のような存在になれたらと思っている」

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