SKE48元メンバー・矢方さんら著名人「がんとの日々」語る

 わが国で1年間で新たに診断されるがんは、99万5千例に達する(平成28年)。それだけ多くの人が「まさか自分が…」と衝撃を受けているのが実情だ。体調はもちろん心まで落ち込んだときには、同じ病気の体験者のケースが支えになるかもしれない。専門家は「特に著名人が治療に臨む姿は影響力があり、参考になる」としている。(大家俊夫)

 ■SKE48元メンバー・矢方美紀さん「声優になる夢かなえるため」

 ◆全摘手術を公表

 アイドルグループ、SKE48の元メンバー、矢方美紀(やかた・みき)さん(26)は昨年4月に乳がんの手術を受けた。今年2月に東京都内で開かれた「ネクストリボンプロジェクト」のがん啓発イベントに登場した後、産経新聞の取材に応じた。

 「乳がんが分かったときは『なぜ私が…』と絶望しました。今後の人生の方が長いことを考え、何とか立ち上がり、手術を受けることを決心した」

 がんの罹患(りかん)はタレント活動にはマイナスイメージになりかねず、できれば隠しておきたいものだ。若い女性でしかも有名人なら、なおさらだろう。ところが、矢方さんは左乳房の全摘手術を受けたことを発表した。

 抗がん剤の治療から逃げず、その影響で頭髪が脱毛してスキンヘッドになった様子をテレビで公表し、女性の友達には乳房切除後の上半身を見せたこともある。「隠すよりも、若い人でも乳がんになる現実を知ってもらいたかった」と明かす。

 矢方さんが、がんとの付き合っていく上で精神的に効果があると思っているのは「1人カラオケ」だという。「長いときは3時間も歌い続け、治療の苦しさを忘れるのに役立っている」

 再発防止のため薬物治療を続ける一方で、小学生のころからの夢に向かって動き出した。「養成所に通ってボイストレーニングを始めた。世界で活躍できる声優になりたいのです」

 ■女優・古村比呂さん「再々発、息子たちに支えられ」

 ◆一度は寛解したが

 啓発イベントには、女優の古村比呂さん(53)もステージに上がり、聴衆に自身の経験を語りかけた。

 最初のがんは平成24年の子宮頸(けい)がんだ。手術で子宮を全摘したが、その5年後に子宮頸がんが再発。29年には肺とリンパ節にがんの転移が見つかった。

 「がんは一度寛解したと思ったのに、再々発なんて。ジェットコースターで急降下するようなショックを受けた。それでも主治医を信頼して、治療を続けてきた」と古村さんは振り返る。

 20代で主演したNHK朝の連続テレビ小説で広く知られるようになった古村さんは、社会人となった長男をはじめ3人の男の子を育ててきた母親でもある。

 治療の過程で失意のどん底のとき、息子の1人にメールを送ったら「そんなこともあるさ」とさらりと励まされたり、体も心もしんどいときは息子たちに料理を作ってもらったりしたこともあった。

 古村さんはブログを通じて治療のプロセスや日々の出来事をつづり、その読者たちと励まし合っている。今は抗がん剤投与を休止しており、「もう少し元気になったら、旅に出て各地の患者さんとふれ合いたい」と思いを寄せる。

 矢方さんや古村さんだけでなく、競泳選手の池江璃花子さんも血液のがん、白血病の治療に立ち向かう姿勢を見せ、タレントの堀ちえみさんも舌がんの治療を公表し、早期発見の大切さなどについて発信している。

 若年性乳がん患者らのサポートを行う聖路加国際病院の北野敦子医師(腫瘍内科)は「がん患者さんの多くは自分だけが取り残されたような孤独感にさいなまれる。がんの体験者の情報が精神的な支えとなり、その中でもメディアで紹介される著名人らが苦しみながらも治療を乗り越えようとする姿は大きな励みとなっている」と話している。

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