奈良9号の名称公募へ イチゴの新品種、産地復権の起爆剤に

 奈良県産イチゴの代表格「アスカルビー」と「古都華(ことか)」に次ぐブランド品種が奈良で開発され、デビューを飾った。県農業研究開発センターが構想から約10年かけて完成にこぎ着けたイチゴは「奈良9号」(仮称)。県は近く名称を公募し、農林水産省による品種登録を目指す。(竹谷朋美)

 奈良県はかつて、全国有数のイチゴの産地として知られた。作付面積は昭和37~55年まで全国3位など上位をキープし、ピーク時の47年には869ヘクタールを誇った。ところが、大阪のベッドタウン化が急速に進んだことも影響し、農地面積が減少。平成29年には108ヘクタール(全国14位タイ)まで落ち込んでいる。

 それでも、12年に品種登録されたアスカルビー、23年に誕生した古都華が広く認知されて以降、県産イチゴが改めて脚光を浴びている。両品種は有名パティスリー(洋菓子店)で取り扱われているほか、かき氷のトッピングとしてもすっかり定着した。

 農作物関連の特許といえる育成者権の有効期限は25年。だが、種苗法改正前に品種登録されたアスカルビーは20年と短く、来年に有効期限を迎える。県は新たな県産イチゴの開発を目指して試行錯誤を繰り返しており、「さちのか」と「とちおとめ」を手交配し、これを「まりひめ」と掛け合わせてできたのが奈良9号だ。

 開発に携わった県農業研究開発センターの西本登志(とし)育種科長によると、りんごに似た爽やかな香りが特徴で、酸味とジューシーさがともに少ない独特の味わい。サイズは大粒で、最大7センチ、80グラムを超えるものもあるという。28年から県内のイチゴ農家で栽培試験を始めたところ、「ぜひ生産したい」との強い要望が寄せられ、3つの候補の中から新たなブランド品種に選ばれた。

 アスカルビーの品種登録前の名称は「奈良7号」、古都華は「奈良8号」だった。西本さんは「アスカルビー、古都華とともに県産イチゴの代表格に成長し、県の農業を盛り上げる存在になってほしい」と期待している。

 奈良9号は、まほろばキッチン橿原店(奈良県橿原市)など一部の直売所で販売されている。

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