ストップ温暖化 「対策の主役」は エネルギーミックスが不可欠

 災害級の猛暑、集中豪雨、猛烈な台風…。昨年の日本は次々と異常気象に見舞われた。異常気象を招く地球温暖化の対策は待ったなしだ。温暖化はわたしたちの暮らしに欠かせない電気などのエネルギーと表裏一体の関係にある。対策には、その原因である二酸化炭素(CO2)を排出する石油や石炭といった化石燃料から脱却する「脱炭素化」が欠かせない。

CO2 26%削減を公約

 昨年12月、ポーランドで地球温暖化防止について話し合う、国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)が開かれた。会議では、2020年から取り組みが始まる「パリ協定」の運用ルールが決まった。日本はパリ協定で、CO2などの温室効果ガスの排出量を30年度に13年度比で26%削減すると公約している。

 しかし、日本の排出量は16年度が13億700万トン(CO2換算)で、13年度比では7.2%削減しているが、前年度比では1.3%減と、削減ペースは鈍化している。特に問題なのは、排出量の約4割を占める発電に伴うCO2だ。16年度は5億700万トンと、前年度比7.0%増加し、13年度比でも3.6%減にとどまる。また、東日本大震災前の10年度に比べると、約20%も増えている(図1)。

 これは原子力発電所の再稼働が進まず、その分、化石燃料を燃やす火力発電に頼っていることが大きい。現在も火力発電の割合は約8割と高水準が続いている。

 脱炭素化の切り札となるのが、発電時にCO2を排出しない太陽光や風力といった再生可能エネルギーと原子力だ(図2)。国は温室効果ガスの26%削減を達成するために、30年度の電源構成について再エネを22~24%程度、原子力を20~22%程度とし、火力を約56%まで引き下げることを目指している(図3)。

 発電電力量に占める再エネの割合は17年度で約15%まで増えたが、原子力は約3%にとどまっている。再エネは発電が天候に左右され、安定供給に不安があるうえ、コストも割高で、「主力電源化」へのハードルは高い。

 そのため、原子力規制委員会による厳格な審査で、安全性が確認された原子力発電所の再稼働を進めるとともに、30年度の電源構成を達成するためには、運転開始から40年を超えた原子力発電所の運転期間延長も重要となる。日本がCO2排出量を着実に削減し、地球温暖化防止に貢献するためには、原子力を含む多様な電源をバランス良く組み合わせる「エネルギーミックス」が欠かせない。

CO2削減には 原子力の活用がカギ

専門家に聞く 東京大学公共政策大学院 有馬純教授

 地球温暖化が進行していることは、さまざまなデータからも明白で、その原因がエネルギーの利用を中心とする人間の活動に起因した温室効果ガスであることも、科学的に根拠が示されている。手をこまねいているわけにはいかず、日本はパリ協定で約束した26%削減を達成しなければならない。

 そのためには、発電時にCO2を排出しない再エネや原子力といった非化石燃料電源を40%超にする「エネルギーミックス」の実現が大前提となる。なかでも重要な役割を果たすのが原子力だ。再エネの拡大は大切だが、国の制度に基づき割高な発電コストが電気料金に上乗せされている。再エネの拡大のためにも、そのコストを吸収できる非化石な大規模電源である原子力を活用することが肝要である。

 安全性が確認された原子力発電所の再稼働を進めると同時に、長期にわたってCO2を削減していくには、運転開始から40年を超えた原子力発電所についても、特別な点検を実施し、国の認可を受けたものについては、再稼働させることが重要となる。また、将来的には、原子力発電所の新設や建て替えも検討していくべきと考える。

【プロフィル】ありま・じゅん 東京大学経済学部卒。1982年、通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁参事官、同大臣官房審議官地球環境問題担当などを経て、2015年から現職。

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