免疫のブレーキ役発見、革新的がん治療に道筋 本庶佑氏にノーベル医学・生理学賞

 ところが、1960年にノーベル医学・生理学賞を受賞した豪科学者が異説を唱えた。健康な人の体内でも1日に約3千個ものがん細胞が生まれる。それなのに、がんにならないのは免疫のおかげだとする説だ。

 だとすれば、自分の細胞であるがん細胞が、どのように免疫の攻撃を受けるのか大きな謎だった。本庶氏は免疫を抑制するPD-1の仕組みを遮断すれば、T細胞が、がん細胞を攻撃できると考えた。

 PD-1は活性化したT細胞の表面にある。体の細胞の表面にはPD-1と結合するタンパク質がある。PD-1を鍵に例えると、鍵穴に相当する物質だ。

 両者が結合するとブレーキ信号が送られ、活性化していたT細胞が休眠状態に陥り、免疫攻撃が抑制されるのだ。本庶氏は米国との共同研究で2つの鍵穴物質を発見。この働きにより正常組織の細胞は免疫攻撃から守られていることを明らかにした。

 さらに本庶氏は、重いがん患者で鍵穴物質が増えていることを見いだした。がん細胞はPD-1の機能をいわば悪用し、表面に鍵穴をたくさん作ることで、免疫を巧みにすり抜けていることを突き止めた。

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