無知と流言がパニック招いた“神戸エイズパニック” やっかいなのは今の時代

 「不特定の男性100人以上を相手に7年間売春行為を続けていた」「感染源はギリシャ人船員」「三宮・元町で出会った男性と性交渉を持ったため、心当たりのある人は血液検査を」…。

 記者発表を皮切りに報道は過熱し、虚実ないまぜの情報が垂れ流された。後に誤報だと判明したのだが、売春婦だからエイズに感染したと言わんばかりの内容は、女性を「患者」から「加害者」に変えた。

 女性のプライバシーを暴いて接触者を捜すことに躍起になり、女性の実名や顔写真を載せる週刊誌まであったという。

 誤解と無関心で沈静化?

 当時、市衛生局保健課でエイズ対応に追われた井上明さん(71)は「マスコミは『えらいこっちゃ』とあおるばかりで、感染経路や予防方法などは報道されなかった」と振り返る。

 井上さんによると、記者発表は本来、この年の3月に行われるはずだった。四半期ごとに国内のエイズ患者を認定する厚生省(当時)のエイズサーベイランス委員会の開催に合わせて発表する予定だったが、「どうやら情報がマスコミに漏れてしまったとなったんです」(井上さん)。スクープ合戦になれば大変なことになる-。厚生省と兵庫県、神戸市は急遽(きゅうきょ)、発表時期を早めた。

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