冬の満月「忘れちゃだめだよ」父の感性継ぐ 米倉万美さん:イザ!

2014.1.12 20:31

冬の満月「忘れちゃだめだよ」父の感性継ぐ 米倉万美さん

【那須の作家たち(1)】

 高原を彩る桜、夏の青空、月明かりが森を照らす冬の夜…。心の中に浮かぶ風景を切り取るように描いている。

 作品に触れると、ふと医師で作家だった父の見川鯛山(たいざん)さん(本名・泰山)を思い出すときがある。見川さんは那須の自然や人を愛し、優しいまなざしで見つめ、本につづった。表現は異なるが、同じ感性を感じてしまう。特に自然や人々を優しく包むまなざしは2人に共通している。

 昨年暮れ、米倉さんを訪ねたとき、忘れられないという見川さんの思い出を話してくれた。

 大学生の頃、父と2人で那須高原展望台から見た冬の満月。「きれいだろう。この風景を忘れちゃだめだよ」と語りかけた。このとき、「父と同じ感性を持っているんだな」と感じたという。

 色彩や描写からは優しいぬくもりが感じられ、詩的な世界が広がり、その情景からは那須の自然の魅力を改めて教えられる。ユーモアを忘れないのもシャイな父親譲りなのかもしれない。

 那須のポスターやパンフレットのイラストも数多く手がけている。作品には那須高原を走る軽トラックなど、いくつかのキャラクターが登場する。那須国際短編映画祭の「バーロイヤルのママ」もその一つ。森の中にあるバーのママの暮らしぶりを通して、那須の自然や四季を描くためのキャラクターだ。

 「父が那須の自然の美しさや大切さを教えてくれた。今、書いたものを読むと、その場面が鮮明に浮かんでくる。季節感はもちろん、風の薫りも。父からもらった大切なものは感性だと思う」。そして、「美しさだけではなく、切なさや寂しさのようなものも一緒に表現したい」と続けた。

 那須は父と同様に作品の原点であり続けている。

 〈よねくら・まみ〉那須町生まれ。玉川大文学部卒業後、やなせスタジオで「アンパンマン」の作者、やなせたかしさんのアシスタントを務める。独立後、イラストレーターとして活躍。宇都宮メディア・アーツ専門学校の講師も務める。3人の子供の母親でもある。父は「本日も休診」「医者ともあろうものが」などの著者がある医師で作家の見川鯛山さん。那須町在住。52歳。

 陶芸、木工、染色、イラスト…。那須では多くの作家が創作活動を続けている。作家とその作品を通して“那須のアート”の魅力を伝えたい。掲載は随時。(宇都宮支局 伊沢利幸)

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