北欧の教育王国はなぜ崩壊したのか? スウェーデンの学力凋落の原因を探る:イザ!

2014.1.5 11:55

北欧の教育王国はなぜ崩壊したのか? スウェーデンの学力凋落の原因を探る

【『深・裏・斜』読み】

 個性重視で知られる北欧諸国の教育環境が、急速に悪化している。中でもスウェーデンの学力低下が深刻で、経済協力開発機構(OECD)が先日公表した2012年実施の国際学習到達度調査(PISA)では、全3教科の得点がOECD平均を大きく下回った。かつて教育先進国とも呼ばれたスウェーデンの教育はなぜ崩壊したのか、背景を探った。(川瀬弘至)

 ■日本とは55点差

 「北欧諸国の成績が急落した原因は?」

 「もう少し詳しいデータを出してほしい」

 昨年11月27日に文部科学省で行われたPISA結果発表のブリーフィング。記者たちの質問が集中したのは、日本をはじめアジア勢の成績が上昇したことと、北欧諸国の成績が急落したことへの原因分析だった。

 PISAは、各国・地域の学校に通う15歳の男女を対象に「読解力」「数学的応用力」「科学的応用力」の3教科を評価する国際学力テストだ。2000年から3年ごとに行われ、5回目の今回は65カ国・地域から約51万人が参加した。

 その結果発表で、北欧諸国の低迷が浮き彫りになった。このうちスウェーデンの状況は、日本と比べてみると分かりやすい。例えば2003年調査の読解力の得点は、国別順位8位のスウェーデンが14位の日本より16点も高かった。しかし06年以降、脱ゆとり政策に取り組む日本が得点を上げる一方で、スウェーデンは急落。09年調査で8位に上昇した日本に逆転され、今回の12年調査では55点も引き離された。

 この間、北欧諸国でトップを走っていたフィンランドも順位を下げ、日本に抜かされている。

 ■地方分権化の失敗

 「北欧諸国では近年、国家の教育予算を削減し、子供たちの学力向上を地域や学校任せにする傾向がみられる。このため成績上位校と下位校との学校間格差が広がっている」

 PISAの結果分析をしている国立教育政策研究所の担当者がこう分析する。学力低下の背景には、国家の教育政策が影響しているというのだ。

 1990年代のスウェーデンは、徹底した個性重視教育で世界中の注目を集めた。中でも注目されたのは、「教育の地方分権化」と「フリースクール改革」だ。教育への国家の関与を薄め、地域と学校の裁量権を拡大するとともに、民間も参入しての学校選択制(フリースクール)を積極的に導入したのである。

 だが、結果的にこの政策は大失敗だった。自治体によって予算も政策も異なるため、学力の地域間格差や学校間格差が急速に拡大、教育環境の悪化に歯止めがかからなくなった。

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