原因は気候変動か 時間差で襲来する“土砂雪崩”の恐怖

 福井県永平寺町で今年3月、えちぜん鉄道小舟渡(こぶなと)駅前の斜面が崩落し、駅に土砂が流れ込んだ。約10分前に列車が発車したばかりで幸いにもけが人はいなかったが、一歩間違えれば大惨事となりかねなかった。今回の土砂崩れは当時降っていた雨によるものではなく、1月に県内で大きな交通障害を引き起こした大雪に起因すると考えられている。

発車後10分で

 「よく車で通っていた辺りだが、こんなことになるなんて」

 土砂崩れから2日たった3月4日、現場で本格化しつつあった復旧作業を見守っていた60代男性は、青ざめた表情で語った。

 同月2日午後1時45分ごろに発生した土砂崩れ。崩落は幅約60メートル、高さ約40メートルに及び、崩れた土や岩が線路を覆いつくした。斜面の法枠(のりわく)も押しつぶされ、むき出しになった山肌が崩落の激しさを物語っていた。

 現場はえちぜん鉄道勝山永平寺線、小舟渡駅(福井県永平寺町)の目の前。同線は福井市の中心地と福井県勝山市を結び、地元では通勤などに使われる。終点の勝山駅は県立恐竜博物館の最寄りとなり、平時の観光シーズンには県外客でにぎわう。

 この日、乗員2人と乗客3人の計5人を乗せた勝山行き列車は、午後1時37分に小舟渡駅を発車。それから10分以内に土砂崩れが発生しており、あわや大惨事となりかねなかった。

気温上昇で雪解け

 列車は一部区間の運休を余儀なくされ、並行する県道も通行止めに。大量の土砂が残り、再度崩れる危険性もあったため、当初は復旧に2カ月はかかるとみられた。だが、1カ月後には防護柵が仮設され、4月6日に列車の運行が、翌7日には県道の通行が再開された。

 復旧作業を担った福井県土木事務所によると、遠隔操作のショベルカーを最大4台投入し、土砂運搬を夜間にも進めるなど迅速化に努めたという。

 復旧と同時に行われた原因調査で、意外な事実が明らかになった。「今冬は大雪に見舞われ、春が近づくにつれて気温が上昇し雪解けが進んでいた。降った雨とともに融雪水が浸透し、斜面の崩落につながった」。同事務所の担当者はこう説明する。

 今年1月上旬、福井市で最深積雪が1メートルを超えるなど、県北部は大雪に見舞われた。県内を通る北陸自動車道では最大1600台が滞留し、並行する国道などでも大規模な渋滞が頻発した。その後も断続的に降雪があり、3月に入ってもあちこちで残雪が目立った。

 永平寺町に隣接する勝山市では、3月の平年の最高気温は10度ほどだが、今年は3月1、2の両日とも気温は約16度まで上昇。急激な気温上昇で、雪解けが一気に進んだとみられる。現場の斜面は、風化した花崗(かこう)岩を含む地質で、大量の雪解け水で風化した層が崩れ、土砂災害が引き起こされたわけだ。

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