池袋暴走事故 遺族「今日が一番絶望」被告に憤り

 東京・池袋で平成31年4月、乗用車が暴走し2人が死亡、9人が重軽傷を負った事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(89)の初めての被告人質問が27日、東京地裁で行われた。休廷を挟まず約2時間に及んだ被告人質問。車椅子で出廷した飯塚被告は、最後まではっきりした口調で質問に答え続けた。これまでの公判と同様にアクセルとブレーキの「踏み間違えはなかった」と主張するさまに、遺族は憤りを隠さなかった。

 検察側の質問は、ドライブレコーダーの映像と飯塚被告の証言との食い違いに集中した。検察官は映像を基に「事故直前に計3回車線変更をしている」「『おー』という声を発したのは焦ったからではないか」などと矢継ぎ早に追及。飯塚被告は「覚えていない。映像を見ても、記憶は戻らなかった」と応じた。

 一方、初公判に続き謝罪の言葉を口にする場面も。松永真菜(まな)さん=当時(31)=と長女、莉子(りこ)ちゃん=同(3)=が亡くなったのを知ったのは事故当日の夜だったとし「大変なショックを受けた。2人のご冥福を祈る気持ちでいっぱいだった」と述べた。

 被害者参加制度を使って裁判に臨んだ遺族からは、飯塚被告への怒りがにじんだ。

 「悔しかった。むなしさが増した」。公判後に記者会見した真菜さんの夫、拓也さんは「真実を述べてくれるだろうと思って裁判に参加してきたのに荒唐無稽な主張をされ続けた。今日の裁判が一番絶望した」と力なく語った。

 「無罪を主張するなら、簡単に『ご冥福をお祈りする』とか言ってほしくない」と声を震わせ、「アクセルを踏み間違えた記憶は一切ない」とする飯塚被告の主張について「あまりにひどい。そんな人に、妻と娘が命を奪われたなんて。返してほしい」と訴えた。

 真菜さんの父、上原義教さん(63)も「私も立ち上がって殴ってやろうと思うくらい、悔しくて悲しかった。私は多くを願っていない。彼に事故と向き合い、反省してほしいだけだ」と、目頭を押さえた。

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