【想う 10年目の被災地】震災前の荒浜、残したい 「海辺の図書館」の庄子隆弘さん(47)

 自宅は津波で流失したものの、家族は全員無事だった。仮設住宅での暮らしが始まったが、震災直後から自宅跡地に足を運んだ。椅子を出し、読書にふけるなど思いのままに過ごした。毎週、荒浜に通ううちに、そこにいる人との会話も生まれた。「災害危険区域」に指定され、人が住めなくなった荒浜の痕跡を残したいと思った。

 「仙台市という『100万都市』にありながら、都市部とは全然違う文化がある。荒浜という土地に震災前には気が付かなかった面白さを感じた。まるで、本で読んでいることを実体験しているかのように。そこで、本のない図書館がいいなと思いました」

 図書館は本を読むだけでなく、生きづらさを感じている人の「隠れ家」にもなる場所だ。海辺の図書館も、訪れる人を拒むことはない。

 「人が戻ってきたときに、立ち寄れる場。海辺の図書館はそういう形になってきています。例えば、荒浜出身の年配の人が訪れて話をするとき、荒浜で代々紡がれてきた鳥かごの作り方、竹ひもの作り方なんかの話をする。もちろん技術もすごいけれど、『そんなの当たり前だっちゃ』と言いながらうれしそうに話をしています。もっと、荒浜に住んでいた人が海辺の図書館を訪れてくれることが私の夢です」

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