「日歯連事件」「陸山会事件」…繰り返される政治資金規正法違反

 政治資金の問題でまたも刑事処分が下された。過去の政治資金規正法違反事件では、閣僚辞任に追い込まれるなど政治家は重い責任を問われ続けてきた。安倍晋三前首相はこれまで疑惑を否定し続けてきたが、事件化されたいま、積極的な事実確認を試みたか、という姿勢も問われそうだ。

 政治資金収支報告書は規正法の「国民の監視で政治腐敗を防ぐ」という理念に基づき公開されている。捜査機関は多額の虚偽記載や必要性を認識しながら記載しない「不記載」など悪質な場合に立件してきた。

 政治団体「日本歯科医師連盟(日歯連)」の迂回献金事件では、参院選で擁立した候補者の後援団体に法定上限を超える資金を寄付、資金の一部が別団体を経由したと収支報告書に虚偽記入したなどとして幹部らが有罪判決を受けた。判決は違法性の認識を認定し「法の趣旨を軽視している」と指摘した。

 政治家に関係する政治団体では、報告書作成を担った秘書らだけが立件されることが多い。小沢一郎衆院議員の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記入事件では、当時の秘書ら3人の有罪が確定。小沢氏は検察審査会の議決に基づき強制起訴されたが無罪になった。3人の判決では「規正法の趣旨に反する悪質な犯行」とされた。

 小渕優子元経済産業相の関連政治団体で虚偽記入があった事件では、元秘書2人が有罪となった一方で、小渕氏は不起訴だった。

 繰り返されてきた政治資金規正法違反事件。今回は政治資金収支報告書に約3000万円の収支が不記載だったことが問われた。規正法違反事件には「被害者がいない」とされるが、国民の政治不信を招く「実害」がある。

 安倍氏は首相在任中の疑惑について「事務所や後援会としての収入、支出は一切ない」と否定してきた。事実を知らされていなかったとしても、現職首相のお膝元で政治資金規正法違反となる不記載が4年分にも渡って続いていた事実は重い。安倍氏は不起訴となったが今後も丁寧な説明が求められる。

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