「唯一無二の存在」京アニ事件がアニメ界に与えた影響

 京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション(京アニ)」第1スタジオで起きた放火殺人事件について、アニメ史の研究者で日本大芸術学部講師の津堅(つがた)信之さん(52)が今夏、新書「京アニ事件」(平凡社)を出版した。事件は近く、殺人などの容疑で逮捕された容疑者が殺人罪などで起訴される見込み。京アニを「唯一無二の存在」と高く評価する津堅さんは、事件がアニメ業界全体に与えた影響を振り返り、「事件からの再建過程を社会に共有してほしい」と語っている。(尾崎豪一)

 ■「独立国」として成功

 京アニは京都府内に本拠を置き、東京都内のスタジオが主流を占めるアニメ業界では異質な企業だ。スタッフを自ら育成し、作業の多くを外注せずに自社で完結させることでも知られ、津堅さんは「他社とのかかわりを極力絶ち、独立独歩。常にアニメ界の主流の対極にいて成功してきた」と評価。著作では京アニを「独立国」と表現した。

 津堅さんによると、アニメ業界はファンのニーズに追随する形で作品を変化させてきた。

 たとえば「機動戦士ガンダム」などのロボット作品を得意とした「サンライズ」(東京)は2010年代、アイドルアニメブームに対応して傾向を変え、高校生がアイドルを目指すテレビアニメ「ラブライブ!」を制作。近年では、映画館で楽しむ劇場版作品や、アニメやゲームが原作の「2・5次元ミュージカル」など「体験型消費」に多くの社が力を入れる。

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