避難続く人の拠り所に、被災3県で司書を経験 福島県富岡町図書館・伊藤晶子さん(39)

 小さい頃から図書館という空間が大好きだった。中学生のときに図書館で働くと決め、山形県の短大に進学し、司書の資格を取得した。短大卒業後、自宅がある宮城県・気仙沼に戻り、最初に勤めたのは隣の岩手県。千厩(せんまや)町(現在は一関市)の町立図書館までの約30キロの距離を、車で45分かけて通った。次に勤務したのは地元の気仙沼市図書館。そこで東日本大震災に遭遇した。

 「被災直後から図書館に情報を求めに来る人が多いのに驚きました。市が出している情報とか、炊き出しがどこであるのかとか。『図書館なら分かると思った』と。震災前から図書館は情報発信の拠点だと思ってはいましたが、その思いがより強くなりました」

 平成28年4月からは、岩手県陸前高田市に採用された。津波で全壊した図書館の再建を担う3年間の任期付き職員。アパートが見つかるまでの約2カ月は自宅から通った。復興工事の大型トラックが行き交う中、片道約1時間半のドライブだった。

 「図書館再建は普通、できない経験。一から作り上げる仕事でした。本の配置を考えたり、書架の高さを工夫してカウンターから館内を見渡せるようにしたり。本のセレクトもしました。全国からの寄贈で本の数はあっても、基本となる哲学書などをそろえなければいけません。実用書だけでなく、厚くしなければいけない分野などを考えたり…。いい経験でした」

 昨年4月、福島県富岡町の職員に採用され、被災3県すべての図書館で勤務することに。新たな職場は、東京電力福島第1原発事故に伴う全町避難で休館を余儀なくされ、一昨年4月に再開したばかりだった。

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