国宝建造物の防火対策難航 設計から対応必要 首里城火災1年

 正殿などが焼失した火災から31日で1年を迎えた首里城(那覇市)をはじめ、世界遺産や国宝となった文化財建造物の防火対策強化をめぐっては、文化庁が昨年実施した緊急調査の結果、重要文化財の建造物4543棟の19%で消火設備が老朽化していたことが明らかになっている。昨年12月に策定された「5カ年計画」に基づき消火設備の設置を進めているが、文化財は構造が複雑で、設計段階から始める必要があるなど難航している。

 5カ年計画は世界遺産と国宝が対象で、昨年4月にノートルダム大聖堂、同10月に首里城でそれぞれ発生した火災を受けた対応。焼失した首里城正殿などのように、世界遺産や国史跡などにある復元建造物も大半が対象となる。計画とは別に進められる重要文化財の防火対策も含め、事業費は昨年度補正と今年度で計97億円の予算が計上された。

 だが、文化庁によると、計画の対象となる約140カ所のうち、整備が始まったのは東大寺(奈良)や清水寺(京都)など37カ所のみ。重要文化財も防火対策強化の対象となる約2500件のうち、作業が進められているのは50件程度にとどまる。整備作業が終了した建造物はないという。

 担当者は「例えばスプリンクラーを設置するにも、天井が平面であれば均等に設置するのは簡単だが、複雑なつくりの文化財は設置箇所をしっかり検討しないと効果が薄れる。建造物ごとで個別に設計をしなければならない」と説明した。

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