児童虐待~連鎖の軛 絶対孤立させない 地域のつながり つむぐ住民

少ない専門職

 虐待を深刻にする、家庭や子供の孤立を防ぐには、「1人の専門家より10人の市民」。ピーシーズが考えるのはそんな解決策だ。

 背景にあるのは専門職の少なさ。例えば、児相職員として、虐待対応や家庭からの相談にアドバイスする児童福祉司は昨年4月時点で全国で約3800人だが、人口では約2・5倍の米国には10倍以上の4万人もいる。

 欧米並みとまではいかなくても、児相の勤務時間や取扱件数などを基に、令和4年度には児童福祉司が1万1千人必要との試算もある。だが、国の目標は5260人にとどまる。

 試算した花園大学の和田一郎教授(児童福祉)はその目標すら「実現できない」と分析。「待遇は低く、虐待対応の制度は世界からあまりに遅れている。その中で『児童福祉司が粘り強く頑張れ』といわれても、学生が現場を志望しなくなるのは当然」と話す。

 専門職が簡単に増やせないなら市民を育てようと、ピーシーズが平成28年に始めたのが、子供の心や行動などを学ぶ半年間のプログラム。子供の心は複雑で、大人がよかれと思う行動が押し付けになり、逆に子供を傷つけてしまうこともある。子供をよく知ることで、行動が本当の意味で子供のためになるよう参加者を手助けするのが狙いだ。

 ピーシーズ理事で社会福祉士の斎典道(さい・よしみち)さん(32)は「深く傷ついた子供をケアするには専門家の力が必要。でも、地域でともに生きる子供を大切に思い、少し行動を起こす市民が増えれば、傷が小さなうちに癒やすことができる」と訴える。

 真家さんはプログラムで茨城県鹿嶋市の放課後児童クラブに参加して子供と触れ合い、ほかの参加者とも議論を重ねた。「支援は上から目線になることもある。ただ隣にいて、声を掛け合えるような優しい間(ま)を作ることができればいいのかな」。普段の生活の中でできることが見えてきた。

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