弁護人解任…分離、異例の展開 河井夫妻裁判、判決後ろ倒し必至

 昨年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件の公判は、元法相で衆院議員、河井克行被告(57)が弁護人6人全員を解任し、裁判を開けなくなる異例の展開を迎えた。妻で参院議員、案里被告(46)の裁判は「応急措置」で分離され、予定通り続いている。今後、克行被告の新たな弁護人が決まるなど準備が整えば再開は可能だが、案里被告の裁判と再び併合するか、分離したまま審理するかの選択肢があり、年明け以降と見込まれていた判決は、さらに後ろ倒しになることが必至だ。

 「克行被告が弁護人を解任したことで、あなた自身の裁判を止めてはならない」。16日の公判の冒頭、高橋康明裁判長は案里被告にこう述べ、弁護人不在となった克行被告とは共同で審理できないと説明。迅速な審理を求められる「百日裁判」でもあり、公判を分離して進めるとした。

 前任の弁護人によると、15日の公判後に接見した際、克行被告から「申し訳ないけども、解任させてもらいます」と告げられたという。理由は明かされなかったが、関係者によると、克行被告は過密スケジュールで証人尋問が続く中、保釈が認められず準備が思うようにできないことなどに不満を抱いていたという。

 前任の弁護人は「私たちは防御権の保障と百日裁判の精神とのバランスを取りながら訴訟をしてきたつもりだ」とした。

 刑事訴訟法では、3年を超える懲役・禁錮に当たる事件の裁判は弁護人がいないと開けないと定めている。今回の事件で克行被告は総括主宰者として起訴されており、法定刑が加重され上限が4年となることから、この規定に該当する。

 ある検察幹部は「突然の解任は想定外の事態だ。新しい弁護人は膨大な量の記録を見なければならず、公判再開には相当時間がかかるだろう」と頭を抱える。

 克行被告は今後、自ら弁護人を選ぶか、裁判長が職権で国選弁護人をつけることになる。その後、裁判所と弁護側、検察側の3者で進行協議をするなどの準備をした上で審理を再開するとみられる。

 ただ、100人を超える証人は案里被告と重複している。準備が整い次第、併合して審理する可能性もあるが、分離された状態が続けば、証人にそれぞれの公判で尋問する「二度手間」となる可能性もある。

 ベテラン裁判官は「分離したままだと証人の負担が増える。併合すれば負担は軽減され、判断が統一的になりやすいが、(克行被告が出廷できなかった間の証人尋問をどうするかなど)複雑になる」と指摘する。

 別の検察幹部は「弁護人解任は時間稼ぎという意味では最高の方法だ。出廷する証人らには迷惑極まりなく身勝手だ」と憤った。

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