「ただただ悲しい」ALS患者で医師の太田さん

 「今回の事件を聞いて、ただただ悲しい。言葉が見つかりません」

 医師であり、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者でもある立場から難病患者支援に取り組むNPO法人「Smile and Hope」(千葉県八千代市)の理事長の太田守武さん(49)は、家族を介した産経新聞の取材にこう心情を吐露した。

 太田さんがALSと診断されたのは、訪問診療医だった平成26年。これまでみとってきた患者の中にはALSの患者もいたが、いざ自分が病を告げられる立場になったときは「頭が真っ白になった」という。

 症状が進行するにつれ、「生きる気力を失った」。当初は足を引きずる程度だったが、そのうち聴診器を持つこともできなくなり、生きがいだった訪問診療医の仕事をあきらめざるを得なかった。それだけに、「事件で女性が2人の医師に依頼した気持ちは痛いほどよくわかります」。

 だがその後、家族や多くの医療福祉従事者の仲間から支えられ、「医師として最期まで人の役に立ちたい」と思うように。現在は言葉を発することができないため、目線の動きで意思疎通をとっているが、患者であり医師という立場と経験をいかし、スタッフのサポートを受けながら無料医療相談を行っている。今回の事件には、「彼女の(生きていくための)手助けができなかったことを悔やんでいる」とも打ち明ける。

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