「奇跡重なっただけ」床上浸水80センチ熊本・芦北町の特養 入所者全員生還も避難に課題

 ■ハード面の対策急務

 高齢者施設では過去にも水害で多数の犠牲者が出ている。国は平成28年の台風10号で岩手県岩泉町内の川が氾濫し高齢者グループホームの入所者9人が死亡したことを受け、29年から水害発生の恐れがある地域の高齢者施設に対し、避難先や移動方法などを盛り込んだ「避難確保計画」の作成を義務づけている。

 来年度末までに全対象施設での計画作成を目指しているが、今年1月時点の作成率は45%。特に熊本県は28年の熊本地震の影響で周知が遅れ、5%にとどまっている。県の担当者は「今回の豪雨を契機に最優先事項として取り組む必要がある」と話す。

 ただ、千寿園も五松園も豪雨前に計画は作成されていた。早川施設長は「車いす移動の高齢者に計画通りの避難は難しい。机上の空論だった」と指摘。「特養の入所者は歩くのもままならない『災害弱者』が中心で、避難誘導には限界がある。高齢者らが施設の2階に居住するための補助など、避難しなくてもよいハード面の対策が急務だ」と訴えている。

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