命がけで救助したが…救助七夕の願い届かず 熊本・球磨村

 熊本県南部に甚大な被害をもたらした豪雨。特に被害が大きかった同県球磨村には今も立ち入りが難しい地域があり、被害の全容は判然としていない。孤立した特別養護老人ホーム「千寿園」では、心肺停止で見つかった14人の死亡が6日に確認された。ライフラインも絶たれた人口約3500人の小さな村は、過酷な状況が続いている。(小松大騎、小泉一敏)

 「年に一度の天の川 幸せおとずれて来ますよに」

 入居者が書いたとみられる七夕の短冊には、そんな願いがつづられていた。

 千寿園の内部では、濁流と土砂の勢いを物語るように、机やタンスが散乱。窓ガラスは割れ、入所者が使っていたとみられる車いすも泥に埋もれていた。

 千寿園がある同村渡地区では土砂や木が道路をふさぎ、横転した車や真っ二つに折れた電柱があちこちに転がっていた。7日は激しい雨が降り続き、住民たちは二次被害に警戒しながら、被害を受けた家屋で懸命に片づけや泥かきを行った。

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 寝たきりや車いすの入所者が多い千寿園周囲は道路も寸断され、建物の上に逃げる「垂直避難」しか助かる道はなかった。濁流が迫る中、近隣住民も協力して上階への避難を試みたが、限界があった。

 「職員の方も命がけで救助したと思うし、われわれも命がけで救助した」

 4日にボートを使って入所者を救助したラフティング会社「ランドアース」の社長、迫田重光さん(53)はこう振り返る。

 同社も壊滅的な被害を受けたが、濁流に押し出されたはずのボートが流れ着いていた。民家の屋根で助けを待つ人もみえる。「放ってはおけなかった」。スタッフと濁流に漕ぎ出した。

 近隣住民の救助を終え、千寿園に向かった。1階部分はほぼ水没し、2人の入所者がパーテーションに乗って浮かんでいた。すでに泥水の中に沈んでしまっている人の姿も目に入った。「あり得ないぐらいの大災害だった」と振り返る極限の状況で、懸命の救助を続けた迫田さんは、「とにかく助けたい一心で無我夢中だった」と話した。

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