相模原45人殺傷被告人質問詳報(10)最後まで一方的な主張 賠償求める遺族「間違っている」

 《植松聖被告は最近、無理心中や世界の難民問題について、自分の考えを訴える手紙を弁護人に送ったという。弁護人は、その手紙についての質問を始めた》

 弁護人「重度障害者の殺害と難民問題は関係があるんですか」

 植松被告「重度障害者を殺害することで、難民問題は解決できるかもしれません」

 弁護人「日本の重度障害者を殺すと海外の難民問題が解決するんですか」

 植松被告「重度障害者は世界中で殺すべきです。日本に限らないと思います」

 弁護人「世界情勢に興味を持ち始めたのはいつ頃ですか」

 植松被告「事件の1年前くらいからです。お金が欲しかったので、世界情勢を調べるようになりました」

 《弁護人は質問を変え、再び大麻の影響に焦点を当てる》

 弁護人「あなたは仕事についてどんな思いを持っていますか」

 植松被告「仕事は楽しくできるようになるべきだと思っています」

 弁護人「あなたはどうでした」

 植松被告「今まではそれなりに…。楽しく仕事をするには大麻を認めるべきです。多幸感で楽しくなるからです」

 《大麻のことに話が及ぶと、植松被告は急に冗舌になる》

 植松被告「大麻についていいですか。大麻と、コカインや覚醒剤との違いを明確にすべきです。コカインや覚醒剤は重度障害者が生まれてしまいます。そもそも麻薬は、麻の薬と書くから誤解を生んでいるんです。麻薬の麻は、カタカナにしたほうがいいと思います。大麻があれば仕事の悩みを解決できます。仕事そのものの苦痛はなくなりませんが、生きる活力を持てるんです」

 弁護人「あなたの中で、大麻と安楽死は関係している」

 植松被告「事件直後は別の話だと思っていましたが、今は大麻ありきです。大麻がなければ安楽死を認めるのは難しいと思っています。大麻も安楽死も認めるため法律を変えるべきだと思います」

 弁護人「そのためにどうしたらいいんですか」

 植松被告「法律を変えるにはどうしたらいいのかは分かりません。変える方法も考えましたが、どう変えるのか分かりませんでした」

 《ここで弁護人は、裁判のあり方について触れ、植松被告の意見を求める》

 植松被告「2審、3審と続けるのは間違っていると思います」

 弁護人「1日で終わらせたい」

 植松被告「はい」

 弁護人「被害者に対して考えていることはありますか」

 《この質問に対し、植松被告は言いよどむ。少し首をかしげ、考えるしぐさを見せた後に答えた》

 植松被告「遺族から損害賠償請求を起こされました。ですが、彼らに(国から)支給されていた金なので、支払えないと思いました。複数の家族とも、10回以上面会しましたが、文句を言う家族は精神を病んでいると思います」

 弁護人「遺族に会って何を伝えたんですか」

 植松被告「重度障害者はさまざまな問題を引き起こしていると伝えました」

 弁護人「反応は」

 植松被告「話を聞いてもらえませんでした」

 弁護人「損害賠償を求める遺族は間違っていると思いますか」

 植松被告「間違っている…、間違っています!」

 弁護人「何が間違っていますか」

 植松被告「金や時間を奪うことを考えないから、客観的な思考がなくなっていると思います。だから損害賠償請求をされたと思います。私が死刑判決を受けたとしても、両親は文句を言いません。それは仕方ないと分かっているからです」

 《植松被告は自分の主張を繰り返している。弁護人はちらっと時計に目をやった》

 弁護人「まだ聞きたいことがいっぱいありますが、体調は大丈夫ですか」

 植松被告「大丈夫です。本当に大丈夫です」

 弁護人「しっかり休んで、週末をはさんで月曜日でもいいんじゃないですか」

 植松被告「そこまでしていただかなくても大丈夫です」

 《弁護人は裁判長に向き直り閉廷を求める。それに対し、裁判長は難色を示す。「被告人は続けてもいいとおっしゃっているから。全体の時間の割り振りもあるので…」。弁護人は閉廷をあきらめ、休廷を求める。30分間の休廷が認められた》

 《再開されたのは45分後だった。裁判長は審理を再開すると、すぐに「お待たせして申し訳ありません。今後の被告人質問について弁護人、検察官、裁判官で協議をしました。その結果、本日の被告人質問はこの程度で終了とします」と閉廷を告げた。弁護人による被告人質問は、1月27日の次回期日から再開される》=終わり

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