相模原45人殺傷被告人質問詳報(5)欲しいものは「お金」 急に笑い出しこらえる場面も

 《休憩を挟んで植松聖(さとし)被告に対する被告人質問が再開される。裁判員が入廷する前は、午前と同じように6人の刑務官が立ったままで座っている植松被告を囲み、目を光らせた。裁判員らが入廷すると、植松被告は証言台の前に進み、質問が再開された》

 弁護人「午前中はあなたの考えを聞いてきました。これからは今回の件で行動しようと思った理由を聞いていきます。どうしてあなたがやる必要があったんですか」

 植松被告「自分が気付いたからです」

 弁護人「ほかの人ではなく、あなたがやらなければいけない理由は」

 植松被告「(そのことに)気が付いたからです」

 《弁護人から再三動機について質問をされるが、植松被告は「自分が殺さなければいけないと気付いた」と一貫して主張した》

 弁護人「いつ気が付きましたか」

 植松被告「措置入院中です」

 弁護人「入院前は考えていなかった?」

 植松被告「自分の独断でやろうとは考えていませんでした」

 弁護人「あなたは何かほしいものがありましたか」

 植松被告「お金です」

 弁護人「お金を得るためには何をすればいいですか」

 植松被告「人の役に立つか、人を殺すかです」

 《植松被告はまたも独自の論理を展開し始める》

 弁護人「殺すとはどういう意味ですか」

 植松被告「詐欺をしたり、覚醒剤を売ったり、安い賃金で働かせたりすることです」

 弁護人「犯罪をするということ?」

 植松被告「そうです」

 弁護人「安い賃金で働かせるというのはどういう意味ですか」

 植松被告「正当な報酬ではないということ。搾取するということです」

 《一度答えた後、弁護人の再質問を遮るように性急に言葉を重ねる植松被告。自分の主張を少しでも分かってもらおうと必死な様子だ。答えを終えた後は、弁護人も次の質問を考えるように少し黙った。植松被告は次の質問が待ちきれないように弁護人をじっと見つめた》

 弁護人「お金が欲しい、だから殺したと」

 植松被告「役に立つということだと思いました」

 弁護人「あなたのしたことは、あなたの考えでは人を殺すことではなく、役に立つというカテゴリーということですか」

 植松被告「その通りです」

 《植松被告は満足したように大きくうなづいた》

 弁護人「お金は入ってきましたか」

 植松被告「入ってきていません」

 弁護人「お金は誰から入ってくるんですか」

 植松被告「そこまで考えてはいなかったです」

 弁護人「考えを持ったのは措置入院中ですか」

 植松被告「入院前から考えていましたが、どうやってお金が入るかは考えていませんでした」

 弁護人「政府にも何か求めましたよね」

 《この質問に植松被告はなぜか動揺する》

 植松被告「それは1つの提案であって…うーん…それは…提案です」

 弁護人「どんな提案ですか」

 植松被告「重度障害者を殺害したほうが良いと手紙に書かせてもらいました」

 弁護人「誰に渡したんですか」

 植松被告「衆院議長の公邸で、管理職のような方に受け取ってもらいました」

 弁護人「手紙にはどんなことを書きましたか」

 植松被告「障害者を抹殺することができます」

 弁護人「何を期待していましたか」

 植松被告「自分の中ではいいアイデアだと思っていたので伝えました」

 弁護人「許可が出ると思いましたか」

 植松被告「いや、ただ良い案だと思っただけです」

 弁護人「政府の許可は必要なんですか」

 植松被告「犯罪なので必要です」

 弁護人「手紙を渡した後、どうなりましたか」

 植松被告「措置入院になりました」

 《自らの思いを訴えて措置入院となった植松被告。考えが固まったという入院中に一体何があったのか》

 弁護人「入院中は」

 植松被告「何もない部屋に閉じ込められていました」

 弁護人「どうでしたか」

 植松被告「やばいと思いました」

 《ここで植松被告は急に笑い出した。笑いをこらえるように答えていく》

 植松被告「出られないんじゃないかと思いました」

 弁護人「うれしかった?嫌だった?」

 植松被告「仕方ないと思いました」

 弁護人「なぜですか」

 植松被告「おかしいことを書いているからです」

 弁護人「お医者さんとはどのような話を」

 植松被告「重度障害者は殺害したほうが良いと話しました」

 弁護人「反応は」

 植松被告「首をかしげていました」

 弁護人「否定されたことは」

 植松被告「されませんでした」

 弁護人「肯定は」

 植松被告「肯定されたこともありません」

 弁護人「ほかに誰かに話をしましたか」

 植松被告「看護師さんにも話しました」

 弁護人「反応はどうでしたか」

 植松被告「うーん、と首をかしげていました」

 弁護人「否定、肯定は」

 植松被告「精神病院なので重度障害者を知っているので、否定できないんだと思いました」

 弁護人「措置入院中に(事件を)決意したと言いましたが、考えが固まるできごとはありましたか」

 植松被告「国の許可はいただけませんでしたが、正しいことなのでやるべきだと思いました」

 弁護人「刃物で刺そうと思ったのですか」

 植松被告「その通りです」

 弁護人「家族の同意が得られれば安楽死させるという話もしていましたよね」

 植松被告「得ることは難しいと思いました」

 弁護人「同意が得られなくても安楽死させる決意を持ったと。同意をする人もいるかもしれませんよね。その人にも取らずに殺してしまうんですか」

 植松被告「その通りです」

 弁護人「考えが変わったように見えるのですが」

 植松被告「本質的には変わっていないと思います」

 《「考えが変わっている」という弁護人の質問を植松被告は真っ向から否定した。植松被告への被告人質問は続き、措置入院から退院した時の経緯や、特異な考えを持つに至ったきっかけについて質問が続く》

=(6)に続く

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