「付けたら安心」とはいえない…GPS保釈 専門家「装着させても一定期間逃げることは可能」

 日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)のレバノンへの逃亡をはじめ、保釈中の被告が逃げ出す事案が相次いでいることを受けて、全地球測位システム(GPS)装着の議論が急浮上している。ただ、「付けたら安心」というわけでもないのが実態だと専門家は指摘する。

 ゴーン被告をめぐっては、弁護団が保釈の条件としてGPSの装着を申し出たが、裁判所は条件に含めず、結果的にノーマークのまま国外に逃げられた。

 森雅子法相は、保釈中の被告に対するGPS装着を「議題の一つ」として、「現在検討中の議論を加速させたい」と発言した。

 カナダで保釈中の中国・華為技術(ファーウェイ)副会長兼最高財務責任者(CFO)、孟晩舟被告は、足首にGPSを装着している様子が激写されている。

 日本にも持ち上がるGPS活用の議論について、ITジャーナリストの三上洋氏は「GPS機能を被告に装着させても一定期間逃げることは可能だ。そのため、監視側がデータを得られないときにどのような対策をできるのかという議論の方が大切だ」と指摘する。

 そもそもGPSは、米国が運用する人工衛星を利用した位置情報計測システムで、当初は軍事利用目的で開発された。「GPSは電波を受信して、電波の強さ・方向で測位できるもので、数メートルの誤差の範囲で測位できる。ただビルや地下では利用できない」と三上氏。

 スマートフォンやカーナビでもおなじみのGPSだが、あくまで電波を受信する機器で、スマホの地図アプリなどは携帯電話の電波を送受信する機能などを複合的に活用することで測位が可能となる。日本版GPSと呼ばれる準天頂衛星システム「みちびき」は、2018年から運用が開始されており、「数十センチの精度」(三上氏)に改善されているという。

 最近では子供の安全を目的とした位置情報追跡アプリや徘徊(はいかい)する認知症患者への対策、忘れ物防止にも利用される位置情報サービスだが、16年11月には、20代の男がスマホのGPS機能を使って女子中学生の行動を監視していたとして、不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕されている。

 プライバシーやセキュリティーをめぐる議論もさらに重要になりそうだ。

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