「死に体」関電、後任社長の絞り込み本格化

 金品受領問題に揺れる関西電力が、問題を調査する第三者委員会の最終報告と同時に退任する岩根茂樹社長の後任の絞り込みを本格化させている。人事を担う外部委員が中心の諮問委員会が水面下で候補者6人と面談していたことが判明。来年には原発再稼働や送配電分離など重要な経営課題を抱えるためだが、第三者委の調査は長期化している。最終報告が年度内にまとまらなければ、社内から「死に体」との声も出る経営陣への不満が広がりそうだ。(岡本祐大)

 ■水面下で候補者と面談

 12月8日、日曜にもかかわらず開催された人事・報酬等諮問委員会。委員らは、関電側が後任候補とする森本孝副社長ら社内取締役6人とそれぞれ10分ほど面談し、経営についての考えなどをヒアリングした。

 会合では候補者の性格診断や経歴をまとめたリポートまで示された。関電が社長人事で外部機関に協力を仰ぐことは異例で、委員の1人は「メディアや社会、中央官庁を意識したのでは」と分析する。

 第三者委の報告を待たずに社長人事を進める背景には、来年に重要課題が山積しているうえ、「すでに社内で現経営陣のレームダック(死に体)化への不安が広がっている」(業界関係者)ことがある。

 一方、関西の財界関係者からは「社内の人材がこの非常時にどこまで対応できるか分からない」など疑問の声が出ている。財界には東京電力が福島原発事故以降、外部から会長職を招聘(しょうへい)していることを引き合いに「社外から呼ぶ方が良い」という意見が根強い。しかし、関電幹部は「経営不安で国有化された東電とは違う」と強調。自浄能力を信じ、内部昇格への強いこだわりをみせる。

 ■原発停止で80億円減益

 関電が社長人事を急ぐ要因となっている原発については、26日の取締役会で高浜原発3、4号機が来年8月以降、順次停止することが説明された。原子力規制委員会が義務付けるテロ対策施設の工事が間に合わないためだ。

 工事内容の見直しにより高浜、美浜、大飯の3原発でかかる費用は4千億円以上。高浜3、4号機が停止すると、代替の火力発電所の燃料費などから毎月80億円の減益を試算しており、委員からは経営への影響を問う質問が相次いだ。

 関電は「工期短縮に努める」と繰り返したが、停止期間が長引けば経営を圧迫することは避けられない。

 ■第三者委に戦々恐々

 第三者委の最終報告にも懸念が広がる。但木敬一委員長は15日の会見で「奥深い問題が出てきた」と説明。今年度中の最終報告を「約束できない」とした。

 「奥深い問題」について、関電社内は「何が出てくるのか」と戦々恐々。監督官庁の経済産業省も「見当がつかない」と困惑する。後任社長候補の6人の関与が明らかになれば「取り返しがつかないことになる」(関電幹部)。

 多くの幹部は昨年10月時点で金品受領問題の経緯を伝えられながら、公表の見送りを追認していた。第三者委からこうした点を「企業風土」ととらえられ、最終報告に「社長は外部からの招聘が好ましい」などと記載されれば、関電の経営のさらなる混乱は必至だ。

 福井県高浜町の元助役(故人)から金品を受け取った元幹部の1人は「現場で一生懸命仕事をしている従業員には本当に申し訳ない」と何度も後悔を口にした。金品受領を長く放置していた責任は、経営陣だけでなく、関電そのものを大きく揺さぶることになった。

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