大阪不明女児保護 真っ暗な道、閉め切った部屋…監禁女児の7日間

 大阪市住吉区の小学6年の女児(12)が誘拐され、連れて行かれた栃木県小山(おやま)市の伊藤仁士(ひとし)容疑者(35)宅の様子が大阪府警などの捜査で判明してきた。伊藤容疑者は女児のスマートフォンを取り上げ、外部との連絡手段を遮断。食事は1日1回、風呂は2日に1回程度に制限し、銃弾のようなものを見せていた。どこかも分からずに連れて行かれた民家で過ごす不安な日々。取材で明らかになった女児の7日間を再現した。

 ■無人駅で下車、スマホ取り上げ

 女児が自宅近くの公園に着いたのは、伊藤容疑者から指定された17日午前10時半ごろ。伊藤容疑者は女児に声をかけ、歩き出した。

 女児が事前のツイッターでのやり取りで聞かされていた行き先は「東京の方」ということだけ。詳しい行き先は分からないまま一緒に在来線を乗り継ぎ、最終的に降りたのは茨城県結城市のJR小田林駅だった。

 利用客の多い最寄りのJR小山駅(小山市)とは違う無人駅。2人は直線距離で約2・3キロの人通りの少ない道を伊藤容疑者宅まで歩いた。辺りはすでに真っ暗で、女児はどこにいるのか認識できないまま家に入った。

 「スマホは使うな」。伊藤容疑者は女児のスマホを取り上げ、通話や通信に必要な「SIMカード」を抜き取った。靴も取り上げ、捨てておくと告げた。誰にも連絡できず、外にも出られない。女児の行動は制限された。

 家には先に茨城県の女子中学生(15)がいた。玄関や窓は施錠され、シャッターやカーテンも閉め切られていた。外部からの視界が遮られる中、女児は1階リビングでほとんどの時間を過ごし、夜は女子中学生と同じ隣の8畳の和室で寝た。

 食事は1日1回程度、パンや炒飯などを与えられた。風呂は2日に1回くらいしか入れなかった。家には数台のパソコンがあり、女児も動画を見ることはあった。リビングにはテレビもあり、閉じ込められている間に自分が捜されていることも知った。

 ■寝ている隙に…雨中の脱出行3時間半

 一度も外に出ることなく、数日間家の中で過ごしたころ、伊藤容疑者が鉄砲の弾のようなものを見せてきた。「怖くなった」「早く逃げ出さないと」。女児は危機感を強めていった。

 23日午前10時ごろ、目を覚ますと、伊藤容疑者と女子中学生はまだ寝ていた。「今しかない」。女児は持ってきていたリュックや財布、スマホを残したまま靴下だけで外に飛び出した。

 何とか逃げ出したものの、自分がいるところがどこかは分からない。雨の降る中、交番を探して歩き回った。直線距離では約700メートル。それでも到着するまで約3時間半もかかった。

 交番には栃木県警の警察官がいた。声をかけられ、中で話を聴かれた。名前を名乗り、「大阪で捜されていると思う」と申告し、自身が置かれていた状況を説明した。「ツイッターで知り合った男の人の家に1週間くらいいた」「ほかにも1人女の子がいた」。女児の懸命な行動が、有力情報のなかった事件を大きく動かした。

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