関電問題 追い込まれ会見「自主性なし」「コンプラ認識にズレ」

 関西電力役員らの金品受領問題で、関電が八木誠前会長らの引責辞任を発表した3度目の会見から9日で1カ月となる。関電は問題発覚以降、説明不足との強い批判を浴び、追い込まれた形で短期間に会見の数を重ねたが、会見後に新たな事実が露呈する事態も。情報発信のどこに問題があったのか。企業の危機管理や情報発信のあり方に詳しい専門家らは「自主性がない」「コンプライアンス(法令順守)の考え方がずれている」と指摘する。

 ■情報開示に問題

 「過去に例をみない大失敗。会見するたびに傷口が広がった」と指摘するのは、危機管理に詳しい広報コンサルタントの石川慶子さん。

 石川さんが「最大の失敗」とみるのは問題発覚直後に開かれた9月27日の会見だ。関電は昨年に社内調査を実施したと明らかにする一方、プライバシー保護などを理由に福井県高浜町の元助役の氏名など詳細な事実関係の説明を拒んだ。「会見自体が何を目的に開いたのか全く伝わらなかった。説明責任に対する認識をはき違えていたとしか思えない」(石川さん)。

 この会見で激しい批判にさらされた関電は、10月2日に2度目の会見を開き、金品の受領者らを公表。記者らとのやりとりは計約6時間に及んだが、石川さんは「時間が長いだけで評価することは決してできない」。関電側の説明には何度も訂正が入る場面もあり、問題の重大性を認識して事態収拾にあたっていないことが露呈したという。

 だが、2度目の会見後も、元助役と関係の深い工事業者から役員が金品を受け取っていたり、調査対象外の元幹部が受領を認めたりするなど疑惑が拡大。10月9日の3度目の会見で、八木誠前会長らの引責辞任が発表された。

 石川さんは「会見の目的は企業へのダメージを最小限にとどめること」とし、「(企業の)危機管理としては、不都合な事実にしっかりと向き合ったうえで、できる限り情報を開示する姿勢が必要だった」と述べた。

 ■社会常識と乖離

 昨年の日本大学のアメリカンフットボール部員の悪質タックル問題では、日大が謝罪までに時間を要したり、反則行為に至る経緯説明に消極的だったりしたことに批判が集中した。組織の危機管理はこれまで以上に重要性を増している。

 企業広報などに詳しいPR総研の篠崎良一・主席研究員は「関電の会見には自主性が感じられず、常に社会の批判を浴び、追い込まれたとの印象がある」と受け止める。

 特に疑問視するのは、関電のリスク評価だという。

 「『不適切だが違法ではない』。関電はこのスタンスを貫いていたが、明らかにコンプライアンスの基本的な考えとずれている」(篠崎さん)。コンプライアンスは法令順守と訳されるが、社会的規範や倫理を守るという意味もある。篠崎さんは、関電が適法か違法かの線引きに固執するあまり、社会の常識と乖離(かいり)が広がっていったとの見方を示した。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ