首里城火災1週間 「人ごとでない」姫路城や法隆寺も防火見直し

 首里城の火災から7日で1週間となる中、各地の文化財の管理者らは緊急の防災対策などに追われている。秋のイベントに携わる関係者に、発火の恐れのある電気系統の安全対策の徹底を求めるケースも。まもなく冬本番。空気の乾燥だけでなく、暖房器具の使用も火災の原因となる中、「首里城の火災は決して人ごとではない」との声があがる。

 世界文化遺産・国宝の姫路城(兵庫)では夜間、映像や照明を利用したイベント「ナイトファンタジア・おとぎ幻影伝」が9日にスタートする。首里城の火災の原因が電気系統のトラブルとの見方があるため、姫路城管理事務所は装置の設営担当業者に、映像や照明などから発火の恐れがないか改めて確認するよう求めた。城谷洋所長は「今回は屋外のイベントだが、『何か抜けていないか』と常に考え防災対策を進めたい」と話す。

 城内には、天守を中心にスプリンクラーが1078カ所、感知器などの自動火災報知設備を669台、屋内消火栓を46カ所、大天守の最上階まで届く放水砲も設置。66カ所にカメラを設け、防災監視室のモニターで24時間監視している。

 7日の訓練では、落雷で出火したとの想定で臨む。兵庫県姫路市消防局は「見直すべきところがないか確認していきたい」としている。

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 歴史的な建造物や文化財は過去にも焼失し、そのたびに防火管理が問われてきた。

 世界遺産・法隆寺(奈良)では昭和24年1月26日、金堂から出火し、模写作業中だった壁画が焼損した。これを教訓とし、翌25年に文化財保護法が制定。30年からは毎年1月26日を「文化財防火デー」と定め、全国各地で防火訓練が実施されている。

 今年4月にはフランスのノートルダム大聖堂で火災が発生。文化庁は9月、国宝や重要文化財の防火対策指針を策定し、所有者に消火設備などを点検して国に報告するよう求めていた。

 ただ、火災に見舞われた首里城の正殿や北殿などは国の文化財に指定されておらず、対象外だった。正殿の周囲には放水銃が置かれ、屋内には消火栓もあったが、スプリンクラーはなかったという。

 法隆寺の金堂(国宝)と焼損壁画(重要文化財)を納めた収蔵庫には現在、建物の外側に水幕を張る「ドレンチャー」を設置。寺職員らで自衛消防団も構成しており、訓練を通じ、初期消火などに対応できるよう備える。

 世界遺産・高野山(和歌山)でも、高野山真言宗の総本山金剛峯寺や山内の寺院などに消火栓を整備しているほか、壇上伽藍(がらん)内の「不動堂」(国宝)にはドレンチャーを設置している。

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 ただ文化財に手を加えることは容易ではなく、大規模な防火設備の設置などに悩む施設も少なくない。

 5年前に世界遺産登録された富岡製糸場(群馬)には放水銃といった設備はないという。消火栓も水道から引いており、十分な水圧が確保されず大規模火災には不安が残る。

 このため、敷地内に大型貯蔵水槽の建設を始め、現在修復作業を進める建物に配管を通す予定だ。担当者は「建物に大きな設備を加えるには、さまざまな意見を聴かなければならない。時間はかかるが、修復に合わせる形で少しずつでも火災に強くしていきたい」と話した。

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