首里城火災 陸自ヘリ投入できず 沖縄県、独自機導入を模索中

 10月31日に発生した那覇市の首里城火災は、通報から鎮火までに約11時間を要した。首里城は高台に位置し、消防車やホースが届きにくい位置にあることも鎮火を遅らせた要因とみられる。周辺住民からは陸上自衛隊のヘリコプターで上空から消火活動を行うよう求める声も上がったが、首里城火災のケースではヘリコプターの活用は難しいのが実情だ。

 首里城から火の手が上がっているのが119番通報されたのは、31日午前2時40分ごろ。一気に燃え広がり、夜明け後に火勢は衰えたものの、完全鎮火したときには午後1時を回っていた。

 消火活動を心配そうに見守った住民からは「なぜ自衛隊のヘリコプターを使わないのか」と不満の声も上がった。平成23年の東京電力福島第1原発の際には、陸上自衛隊のCH47大型ヘリコプターが上空から海水を投下している。那覇市には陸自第15旅団が駐屯し、CH47も配備しているだけに、これを活用できなかったのかというわけだ。

 陸自ヘリが消火活動に参加するためには沖縄県が災害派遣要請を行う必要があるが、県防災危機管理課は要請を検討しなかったという。担当者は「ヘリでの消火活動は数トンの重さの水を落とすので、周辺への影響もある。都市部ではヘリによる消火活動はできない」と説明する。

 15旅団も同様の理由で、CH47を派遣を検討はしなかったという。陸自幹部は「水を運ぶバケットはフックをかける構造で、万が一これが外れて周辺市街地に落下するリスクがある」と語る。ヘリによる消火活動が有効なのは、福島第1原発事故のようなケースや森林火災などに限られるという。

 とはいえ、消火活動にヘリコプターが全く不要なわけではない。県防災危機管理課は「赤外線を使って火元を特定し、地上の消防隊に指示を出せば消火活動に有効となる」と話す。しかし、沖縄県は独自の防災ヘリを保有しておらず、首里城火災でもヘリによる消火活動支援はできなかった。

 県は防災ヘリ導入を目指しており、平成29年度以降、県予算で調査費を計上しているが、導入に向けた調整は難航している。防災ヘリに乗り込む消防隊員は原則として市町村の負担となるが、市町村側は県負担を求めており、負担割合をめぐって決着がついていないためだ。

 とはいえ、防災ヘリが必要であるとの認識では県も市町村も一致している。県担当者は「消火活動以外にも、台風などの災害情報収集、離島への物資輸送、行方不明者の捜索など幅広い用途が考えられる」と話す。

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