台風21号 「人生初めての豪雨」 千葉・長南町、長柄町 大規模浸水の爪痕深く

 台風21号などによる記録的大雨で河川が氾濫し、多くの犠牲者を出した千葉県では27日、被災者が復旧作業に追われたが、大規模な浸水に見舞われた地域には深い爪痕が残っていた。「人生で経験したことがない豪雨だった」「いまは放心状態」。長(ちょう)南(なん)町(まち)の高徳律子さん(87)は言葉少なに語った。

 「早く避難して!」。血相を変え駆け込んできた警察官の知らせで、異常事態に気付いたのは25日の昼すぎだった。朝からの雨は激しさを増し「前が見えないほどの雨脚だった」。一宮川が氾濫するなどし、周辺は膝下ほどまで濁流に飲まれ、水かさは勢いを増していた。

 つえをつき家族と避難所へ何とかたどり着いたが避難者であふれ中に入れない。やむを得ず、屋外で雨に耐えた。夕方が近づくと雨脚は弱まり、浸水が引いていくように感じた。自宅に戻ってみると、家には浸水し、フェンスなどは土台ごと流されていた。高徳さんは、「水はあっという間にあふれた。今は放心状態。これだけ異常気象が続くとまともに生活することはできない」と悲しげに語った。

 大雨の降り始めから2日。広範囲で水は引いたが、屋内に水が残っているところも少なくなく、住民らは水をかき出し、道を埋める汚泥を清掃していた。廃棄された家電製品や家具などが集積所にうずたかく積み上がる。無人の車が車道をふさぐように何台も放置されている。川はがれきなどで埋もれ、沿線の道路はいたるところで崩落、ガードレールなどが激しく曲がっていた。

 長南町の隣町で、やはり川の氾濫で多数の家屋が浸水した長柄(ながら)町(まち)でも、傷痕は深い。多くの家で、流れ込んだ土砂をかき出す作業が行われていた。当時、自宅にいた男性(72)は「異常な雨音がして、周りがみるみる水没していった」と険しい表情で振り返る。

 近くの川は水位が欄干を超え、午後3時ごろには激しい雨音と浸水の轟音(ごうおん)が響き「すでに避難できる状態ではなくなっていた」。2階で外を見守っていると車が流される様子も見えた。

 同町でも、車が水没するなどして2人が命を落とした。男性は「さらに強い雨が続けば自分たちもあぶなかった。この地域は高齢者も多い。あれだけ浸水が早いと、逃げるのは難しい」。近くの畑の真ん中には押し流された軽トラックがそのままになっていた。

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