凶悪事件に発展するケースも…誰しも身近に起こりうる ご近所トラブルに潜む恐怖

【衝撃事件の核心】 

 大阪府豊中市の住宅街で今月、女性(47)が金づちを持った男に自宅前で襲われた。女性は頭を複数回殴られ、意識不明の重体に。現場には血だまりができ、周囲は一時騒然となった。大阪府警は殺人未遂容疑で、女性宅の隣に住む無職の男(31)を現行犯逮捕。以前から女性は、男から因縁を付けられていたことを警察に相談していたという。誰しも身近に起こりうる近隣トラブルだが、凶悪事件に発展するケースも珍しくない。

現場に大量の血

 10月4日午前9時前、阪急豊中駅から東に約2キロの閑静な住宅街。いつもの平穏な朝が、女性の叫び声で一変した。

 「きゃー」。府警や近隣住民によると、叫び声を聞くなどして駆け付けた通行人らが「男が女性を金づちで殴っている」と110番。男は路上で執拗(しつよう)に女性の頭を殴打しており、通行人らが「やめろ」などと懸命に制止したが、現場には大量の血が流れ、近隣住民らが持ってきた大量のタオルで応急処置が行われた。通報を受けた警察官が到着すると、白いTシャツにジーンズ姿の男が立ち尽くしており、その場で現行犯逮捕。金づち(長さ33センチ)も押収された。

 女性は子供を幼稚園に送る準備をしていたところを襲われたとみられ、事件直前に2人が口論になっていたとの目撃情報もあるという。女性は頭蓋骨を骨折するなどし、意識不明の重体となった。

「子供うるさい」 

 隣人間に一体何があったのか。府警豊中署によると、男は「騒音のトラブルがあった」と供述。だが、複数の近隣住民は取材に対し、「女性宅の物音が気になったことはない」「子供の声が聞こえることはあるが夜も静かだった」と答えた。

 一方、捜査関係者によると、男は過去に、「子供の声がうるさい」などと女性の夫らに文句を言ったことがあった。男との近隣トラブルを、女性側が警察に相談したこともあったという。豊中署は相談内容や時期を明らかにしていないが、捜査関係者や近隣住民によると、ここ3年以内に騒音や敷地の境界線などをめぐってトラブルになっていたとみられる。

類似ケース他にも

 近隣トラブルが凶悪事件に発展するケースは後を絶たない。

 警察庁によると、全国の警察に寄せられた近隣や職場などの身近な対人トラブルは年々増加しており、平成30年は25万2981件あった。

 21年には、川崎市のアパートに住む男が、隣人や大家ら3人を刺殺。男は「隣室のドアの開け閉めや洗濯機の音がうるさくて我慢できなかった」と供述していた。堺市東区では27年、80代の女性が隣人の男に自宅で殺害され、逮捕された男は「隣人に家をたたかれるなどし腹が立っていた」と話した。さらに、29年には松山市で男が60代の隣人男性を包丁で刺殺。逮捕された男は「騒音トラブルがあった」と説明した。

 「近隣トラブルの相談は非常に多くなっており、警察がどの案件が重大事件につながるかの見極めも非常に難しい」。近隣トラブルに詳しい八戸工業大の橋本典久名誉教授(音環境工学)はこう指摘する。

 近隣同士は物理的に簡単に離れられず、時間をかけて増長した恨みが凶悪事件につながることもあるといい、橋本名誉教授は「アメリカの一部の州では近隣トラブル解決に特化した専門機関があり、無料でサービスを受けられるところもある。近隣トラブルが増加傾向にある日本も、こうした機関が必要ではないか」と話している。

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