家族同然の愛車が…クラウン盗難被害者が怒り「犯人を許すことはできない」

【衝撃事件の核心】

 思い出が詰まった家族同然の愛車を盗まれ、あろうことか犯罪に利用された-。新たな手口が次々と生まれる自動車盗。その被害に遭った堺市の男性(47)が産経新聞の取材に応じ、怒りの思いをはき出した。頻繁に洗車したり部品をカスタマイズしたりしていた愛車が突然姿を消し、発見されたときには傷だらけの状態。車内からは身に覚えのない目出し帽や違法薬物とみられるものが見つかるなど、犯罪に使用された形跡もあった。あまりに変わり果てた姿に、男性は「犯人を許すことはできない」と憤っている。

「思い出詰まった車」 

 8月11日朝。男性はいつものように妻を職場へ送り届けるため、自宅からほど近い駐車場へ向かった。だが、前日夜に所定の場所に止めたはずの愛車、トヨタの「クラウンマジェスタ」が見当たらない。「何が起きたのか一瞬理解できずパニック状態になった」。駐車場には、車から抜き取られたとみられる鍵の部品が落ちており、すぐに110番した。

 ワインレッド色のクラウンマジェスタを長年探し求めていた男性は3年前に同車を購入。以来、高級外車に使われているタイヤのホイールを特別にカスタマイズしたり、車内灯を全て白色発光ダイオード(LED)に付け替えたりして大切にしてきた。週に3、4回の洗車も欠かさなかったといい、「何度も旅行にいくなど思い出が詰まった家族のような車。本当に大切にメンテナンスしていた」と悔しさをにじませる。

車内から違法薬物?

 「車が見つかったので確認しにきてほしい」。事件から約2週間後、被害届を出していた大阪府警から男性に連絡が入った。だが、見つかった愛車は変わり果てた姿になっていた。

 大阪府北部の団地の建設予定地に置かれていた車は、車体のいたるところがへこみ、衛星利用測位システム(GPS)用のアンテナが破壊されていた。トランクや車内には身に覚えのないゴルフクラブや携帯電話、消火器、食べかけのフライドポテトなどが詰め込まれていた。

 さらに、目出し帽や違法薬物とみられる結晶が入った袋が見つかった上、ナンバープレートも付け替えられていた。

 大切な愛車は犯罪に使われていた。男性はあまりの状況に言葉を失った。

巧妙化する手口

 警察庁によると、平成25年に2万1529件だった自動車盗の認知件数は毎年減り続け、29年には半分以下の1万213件となっている。自動車メーカーや利用者の防犯意識が高まり、対策が進んだことなどが要因の一つだという。

 発生件数が減る一方、手口は巧妙化している。

 かつて自動車盗といえば、窓ガラスを割ったり工具でドアをこじ開けたりして、電気配線を直結させエンジンをかけて持ち去るといった手口が主流だった。

 20年ほど前に、防犯対策として、車と鍵に事前登録したIDを照合し、一致する場合のみエンジンを起動させることができる「イモビライザー」が登場。すると、暗号化されたIDを無効化し、別の鍵でもエンジンを始動できるようにする「イモビカッター」などの解除機器が出回るようになった。

 最近は、鍵穴に差し込まなくてもドアを解錠したりエンジンをかけたりできる「スマートキー」から発信される微弱な電波を特殊な装置で受信、転送して解錠する「リレーアタック」という手口も確認されている。警察庁によると、29年の自動車盗の認知件数のうち、鍵がない状態で盗まれたケースは7割を占めているという。

 今回被害に遭った男性の車内からもイモビカッターが見つかった。現在は大阪府警が窃盗容疑で捜査している。「本当に理不尽で、犯人を許すことはできない。自動車盗は身近であり、卑劣な犯行だと改めて痛感した」。男性は沈痛な表情で話した。

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